2023年1月のスケジューリングには非常に悩んだ。
博多ではエリザベート、東京ではキングアーサーが上演されるからだ。
結局、博多座エリザベートは初日に近い日程(1月中旬)で遠征し、1月の後半は東京でキングアーサーを観劇した。
キングアーサーも見どころが多すぎて、4回の観劇では足りなかった。毎日見たかったかも。。。
ダブルキャストの観劇状況は以下の通り。
メレアガン:伊礼彼方、加藤和樹をコンプリート
ランスロット:太田基裕、平間壮一をコンプリート
グィネヴィア:小南満佑子、宮澤佐江をコンプリート
🎥ダイジェスト映像公開
フルサイズはこちら👇https://t.co/OfPYHwJpQO#キングアーサーミュージカル🎫東京公演2/5(日)まで
新国立劇場中劇場にて pic.twitter.com/dRGn54TBdS— 【公式】ミュージカル『キングアーサー』2023年1月上演 (@kamusicaljp) January 20, 2023
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『キングアーサー』
会場
新国立劇場中劇場
観劇日
2023/1/21(Sat) マチネ
2023/1/22(Sun) マチネ
2023/1/26(Thr) ソワレ
2023/2/2(Thr) マチネ
難曲ぞろい
私には音楽の専門的な知識はない。
また、ミュージカル作品はそれなりの数を見ているという自負はある。
その私が、この作品には難曲がそろっている、という印象を受けた。
グィネヴィアのナンバーが、超低音から高音までとにかく音域が広いのと、中間音というのだろうか?地声と裏声の間の音で、ずっと激しい感情を表現しなければならないパートもあり、すごい作品だな、と思った。
メレアガンのナンバーに至っては、男声の裏声を駆使しないといけない曲まで。
まず音楽に圧倒された。
客席の壁まで使った照明・舞台美術
舞台美術も素晴らしかった。
最近の舞台美術は、白い壁に映像を映して背景をつくるものも多いように感じられるが、この作品ではなんと客席の壁まで使っていた。
新国立劇場中劇場の客席は、舞台から放射線状に客席が広がっている。そのため、観客は視点を左右に動かすと壁が目に入るのだ。
この劇場の構造を生かした舞台美術はとても良いと思った。
例えば、ランスロットが聖杯を探しに行くシーンでは、場所は森の中なのであろう、両サイドの壁には緑の葉っぱがこんもりと茂っている様子が、マーリンが去るシーンでは、マーリンは鳥になって去ったらしく、下手(しもて)側の壁にひゅーっと鳥が飛ぶ様子が映し出された。
見目麗しき男子ぞろい
円卓の騎士の物語であるわけなので、見目麗しき男子がそろっていることは想像に難くなかったが、やはり目にも心地よい舞台だった。
浦井健治が美しいのは、いまさら言うまでもないだろう。
1幕最初では、幼い少年のようなアーサー。
かわいい、可愛すぎる。。。
エクスカリバーを引き抜いて、王となった後、少しずつ王としての貫禄をつけていく変化をみていくのが面白かった。
ちなみに、今回主人公のアーサーがシングルキャスト。
これもある意味すごいし、奇跡。
また、今回初見だったのが、ガヴェイン役の小林亮太。
やっぱりいい役者というのは「目」がとても強い。
客席にいて何度か彼と目が合ったような気がしたのだが、多分気のせいだろう。
それぐらい「目」が印象に残った。
アーサー王の甥で忠実な家臣、要所要所でストーリーを進める重要な役割を果たしているが、これぞ!という見せ場は実はない。
それなのに、終演後、じわじわとその姿が思い出される不思議な存在だった。
鎧も似合っていて、本当に美しい。
ランスロットには、太田基裕と平間壮一。
私的には太田基裕はなんだか久しぶりだった。
太田基裕のランスロットが、女性たちにキャーキャー言われて、苦笑するあのシーンの表情がいい。
白の衣装がとても似合っていた。
白が似合う男性、いいよね。
もう一人のランスロット平間壮一、彼はどことなくやんちゃな雰囲気があって、私的にはランスロットではないんだよなぁ・・・・ランスロットというよりケイでみたかった。
メレアガンも伊礼彼方と加藤和樹で全然違っていて、こちらも非常に面白かった。
闇落ちしても人間臭く苦悩する加藤和樹、闇落ちしたらもはや人間以外の何かになっている伊礼彼方。
闇落ちしたメレアガンがグィネヴィアをさらい、「俺の女になれ!」と迫るシーンがあるのだが、グィネヴィアは頑なに拒絶する。
ここでグィネヴィアが拒絶しないとストーリーが進まないのだが、この状況であらがえないとわかったらメレアガンに従うのもいいのでは?と思ってしまった。
だって、メレアガン、かっこいいし。
アーサー王と婚約しながらランスロットに心を奪われた「柔軟な」グィネヴィアならそれができるでしょ!とか突っ込みを入れたり・・・・(笑)
そして、ケイの東山光明が今回非常に良かった。
実は、この作品4回を観劇して「このシーンが一番好き!」と思ったのが、ランスロットが絶命するときのラブシーンだ。
舞台上ではランスロットとグィネヴィアの最後の別れが奏でられているのだが、私はそっちじゃなくて、舞台の端でずっとそれを見守っているケイに釘付けだった。
そう、このシーンのケイがとてもよかったのだ。
死ぬけど僕は幸せだよと歌うランスロット、死なないでほしいと嘆願するグィネヴィア、ランスロットが息絶えた後、絶叫するグィネヴィア・・・
その一部始終を固唾をのんで見守り、彼らの一挙一動に、セリフも言わず、表情だけで反応するケイ。
そして最後に「王はなにもかもご存じです、今は何も言わないだけで・・・」と思い切ったようにグネヴィアに告げた後、「ごめんなさい!」と走り去る・・・
このシーンが、とってもとってもよかった、ブラボー。
グィネヴィアの解釈いろいろ
グィネヴィアという役は、いろんな解釈ができそうだなぁ、と思った。
今回、小南満佑子と宮澤佐江のWキャストだったが、個人的にイメージするグィネヴィアに近かったのが宮澤佐江。
彼女は、ミュージカル作品にいくつか出演しているのだが、実は今回初めて見た。
大胆で骨太な感じのグィネヴィアだった。
私の中では、グィネヴィアはあまり深層の令嬢っぽくないほうがイメージにぴったりくる。
そういう意味で宮澤佐江がぴったりはまった感じ、演技もすごくよかった。
ただ、やはり難曲のせいか、歌はちょっと残念だった。
一方小南満佑子は、歌が素晴らしかった。
さすが、である。
また、気品があるのにどこかコケティッシュな雰囲気もいい。
以前から、華奢で品があるのに、どうしてコケティッシュな印象もあわせもつんだろう?と思っていたのだが、今回いろいろ観察していて、あのカーヴィな体形のせいだろう、と思った。
ドレスの上からでもわかるカーヴィな体形だ。
ダンサー陣すごすぎ
ダンサー陣もすごかった。
エリザベートのトートダンサーに匹敵するすばらしさだった。
まずモルガンの部下レイアを演じた碓井菜央。
顔が怖い。(もちろん称賛している。)
最初からインパクトが強い、強い。
ダンサーというのは顔でも踊るんだな、と思わされた瞬間。
ちなみに、この方、ジャック・ザ・リッパー(2021年9月)で切り裂かれた娼婦の役をやっていた人だよね?
表情にとてもインパクトがある。
そもそも脂肪など身につけていないんじゃないか?というほどの限界まで細い身体、モルガンの引き裂かれた心を表現するときの、痙攣したような奇妙な動き、大胆不敵な気味の悪い笑い・・・いやぁ、素晴らしかった。
そして、狼&鹿の長澤風海&工藤広夢。
こういうダンサーをみると、人間の身体能力と、その表現力にただただ驚かされるばかり。
なんだかボキャブラリーが貧困になってきたように思うが、人間ではないものを演じて本当に動物に見えるんだもの、だから、ただただ驚かされるばかり、としか言いようがない。
特に工藤広夢は小柄なせいか、びょん!と跳ねたりすると、本当に人間ではないみたいだった。
歌唱力の高いベテラン
マーリンとモルガンも、こちらもシングルキャストだった。
石川禅のマーリン、安蘭けいのモルガン、この存在が、舞台をがっちりと引き締める土台になっていた。
素晴らしすぎてもはや何も言うことがないレベル。。。。
-
運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
続きを見る
作品情報
キャストなど
キャスト
アーサー:浦井健治
メレアガン:伊礼彼方/加藤和樹 (Wキャスト/五十音順)
ランスロット:太田基裕/平間壮一 (Wキャスト/五十音順)
グィネヴィア:小南満佑子/宮澤佐江 (Wキャスト/五十音順)
ガウェイン:小林亮太
ケイ:東山光明
マーリン:石川禅
モルガン:安蘭けい
碓井菜央、加賀谷真聡、工藤広夢、当銀大輔、長澤風海・大場陽介、長澤仙明、半山ゆきの・ 新井智貴、 大井新生、岡田治己、加藤さや香、加藤翔多郎、鹿糠友和、鈴木百花、高島洋樹、 高橋伊久磨、高橋慈生、田口恵那、東間一貴、内木克洋、長嶋拓也、永松樹、西尾真由子、 花岡麻里名、藤本真凜、MAOTO、松平和希(五十音順)
演出・音楽・振付等
日本版台本・演出:オ・ルピナ
翻訳・訳詞:高橋亜子
音楽監督:竹内聡
振付:KAORIalive
美術:二村周作
照明:高見和義
音響:山本浩一
映像:上田大樹
衣裳:前田文子
ヘアメイク:宮内宏明
擬闘:栗原直樹
エレクトロニックミュージックデザイン:ヒロ・イイダ
歌唱指導:やまぐちあきこ
演出助手:河合範子
舞台監督:徳永泰子
稽古ピアノ:中條純子
演出家通訳/台本下訳:キム・テイ
宣伝デザイン:山下浩介
最終更新日 2023年2月4日