2023年上演

【2023年】ガールズ・パワー炸裂『ザ・ビューティフル・ゲーム』

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楽曲がアンドリュー・ロイド=ウェバーだということ以外は、何の予備知識も持たずに観劇した。

そう、どんなストーリーかも知らずに観劇したのだ。

幕が上がって最初は、「ん?これは私の苦手な、リア充若者がスポーツをしたり、恋して泣いたり笑ったりする青春物語か?」と思ったのだが、北アイルランドの政治と宗教に翻弄された若者たちのストーリーだった。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『ザ・ビューティフル・ゲーム』

会場

日生劇場

観劇日

2023/1/17(Tue) ソワレ
2023/1/25(Wed) ソワレ

3人の才能あふれる若手女優たち

2回観劇して、ふと思ったこと。

それは、CASTの平均年齢はいったい何歳なんだろう?ということ。

アンサンブルもパッと見た感じかなり若い。

益岡徹ひとりだけで平均年齢を釣り上げている感じだ。

木下晴香、加藤梨里香は、20代前半だがすでにベテラン女優の貫禄。

その彼女たちが、少女らしくキャッキャ言いながら恋をするシーンは、意外なことにちょっと新鮮だった。

裏を返すと、あんまりリアリティがない感じ。

実際、若いうちからエンターテイメント業界で主役級張ってきたような彼女たちが、普通の女子高生と同じようにキャッキャ言いながら恋愛しているとは思えないんだよな、いや、詳しいことは知らないけれど・・・。

逆に、木下晴香のメアリーは、ジョンが壊れて別人になってしまってからのほうが、彼女らしいちょっと悟ったような落ち着いた感じがぴったりはまるなぁ、という印象。

豊原江理佳は今回初見だったのだが、演技も歌もソツなくこなしていて好印象。ずば抜けて歌がうまいわけではないのだが、屈託がなくてのびのびとしている声には良い印象を持った。

ちなみに出身地がドミニカ共和国・・・ってことはスペイン語ネイティブかしら?

加藤梨里香の歌は、改めて聴いてみて、やっぱりうまいなぁと思った。

だからこそ思うのだが・・・・少女の役もいいのだけれど、やはり「大人の女性」の役で見てみたい。

こんな感じで、私にとってはこの作品は、才能あふれる3人の女優がまず最初に記憶に残った。

北アイルランド問題

2回観劇して、ふと思ったこと、その2。

それは、「ああ、北アイルランド問題って、知っていたけれどあんまり意識したことなかったな」ということである。

アイルランドの通貨はユーロなのに、なんで北アイルランドの通貨はポンドなの?と思ったことはあったのだが、その理由が北アイルランドはUKの一部だから、ということは、あんまり意識していなかった。

本作品のテーマは、争いは何も生まない、和平を!ということだと思うし、それにはまったくもって反論の余地がない。

しかし、長身の東啓介演じるトーマスのように、「憎しみを次の世代に引き継ぐ」「暴力で応戦する」という思想を、簡単に否定することはできない。

平和なところにいれば、「争いは何も生まない」というのは腑に落ちるのだが、実際に自分が搾取される側に回ったら、本当にそう納得できるのか?というとそうではない気がする。

だから、今回見ていて一番感情移入したのが、トーマスだった。

すごく愚かで人間臭いし、とても悲しい。

そんなふうにしか生きられなかった悲しみに、一番感情移入できた、かな。

惹かれあいながらお互いをののしるナンバーは秀逸

今回、ジョンの小瀧望は初めて見た。

これまで名前も知らなかったのだが、どうやらジャニーズの人気者らしい。

どうりで客席には二十歳前後の「かなり若い女性」が多かったわけだ。

この作品、出演者も若いが、観客も若い。

小瀧望の大地に根っこが生えてそうな、良く響く声はとってもいいと思う。

大音量でためらいなく攻めてくる歌い方にも好感が持てる。

ただ、音域があまり広くない印象なので、ぜひ今後トレーニングして聴かせる歌にしてほしい!と思った。

ルックスもいいので、今後もミュージカル作品に出演して、若い女性を劇場に引っ張ってきてほしいと思った。(なぜか勝手にマーケティング戦略目線・・・何者だよ、私?!)

ジョンとメアリーが、本当は惹かれあっているくせに罵り合うデュエットは、本当に素晴らしかった。

アンドリュー・ロイド=ウェバーの楽曲は、歌いこなすのもかなり難しいんじゃ???と思うような旋律だが、二人のパワーでとても心地よいナンバーだった。

私が書いています
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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

ジョン:小瀧望(ジャニーズWEST)
メアリー:木下晴香
トーマス:東啓介
クリスティン:豊原江理佳
バーナデット:加藤梨里香
ダニエル:新里宏太
ジンジャー:皇希
デル:小暮真一郎
オドネル神父:益岡徹

今村洋一、江見ひかる、岡本拓也、尾崎豪、後藤裕磨、齋藤信吾、酒井比那、酒井航、鮫島拓馬、社家あや乃、田川颯眞、富田亜希、中野太一、広瀬斗史輝、松田未莉亜、宮崎琴、門馬和樹、安井聡、吉田萌美、渡部光夏

演出・音楽・振付等

作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー
作詞:ベン・エルトン
上演台本・演出:瀬戸山美咲
振付:ケイティ・スペルマン
訳詞:福田響志
音楽監督・歌唱指導・指揮:山口琇也
美術:松井るみ
照明:高見和義
音響:本間俊哉
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:宮内宏明
映像:栗山聡之
アクション演出:HAYATE
演出助手:福原麻衣 石川和音
舞台監督:北條 孝 篠崎彰宏
制作:橋本 薫 龍 貴大/關 早紀子
プロデューサー:小嶋麻倫子 塚田淳一/堂本奈緒美 古田直子
エグゼクティブプロデューサー:池田篤郎/藤島ジュリーK.
製作:東宝/東京グローブ座

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