2023年上演

【2023年】絢爛豪華なおとぎ話『アナスタシア』

https://lasfloresrojas.com

つい最近海宝直人を見たような気がしていたのだが(7月に『ダ・ポンテ』で見てるからだ!)、『アナスタシア』でまた海宝直人。

当公演は、2020年3月に上演で、私もチケットを数枚持っていたのだが、数回のみ上演された後、残りの全公演が中止になってしまった幻の公演。

私のチケットは全部返金対象となってしまっていた。

そして、3年の時を経て、やっと見ることができた。

今回は4回の観劇。

ダブルキャスト、トリプルキャストの観劇状況については以下の通り。

アーニャ:木下晴香で観劇。(葵わかな見逃し)
ディミトリ:海宝直人/相葉裕樹/内海啓貴をコンプリート
グレヴ:堂珍善邦/田代万里生/海宝直人をコンプリート
ヴラド:大澄賢也/石川禅をコンプリート
リリー:朝海ひかる/マルシア/堀内敬子をコンプリート
リトルアナスタシア:内 夢華、戸張 柚で観劇。(鈴木 蒼奈見逃し)

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『アナスタシア』

会場

東急シアターオーブ

観劇日

2023/9/14(Thr)ソワレ
2023/9/16(Sat)ソワレ
2023/9/26(Tue) ソワレ
2023/10/5(Thr)マチネ

舞台美術のセンスの良さ

舞台はロマノフ家の最後の栄華がみえるロシア、革命後のロシア、そしてパリ。

すべてが画として美しかった。

物理的な舞台美術と、デジタルの舞台美術を組み合わせた演出は、10年前、いや5年前はそれほどなかったんじゃないだろうか?

物理とデジタルを組み合わせた奥行のある美しい舞台を見ることができた。

特に、アーニャ、ディミトリ、ヴラドが列車で旅するシーンでは、この技術が存分に生かされているのでは?と思った。

開演前の舞台の様子

すべてのキャストが完璧

すべてのキャストが完璧・・・と言いつつ、実はヒロインのアーニャは、Wキャストのうち葵わかなはどうしても日程が合わず観ることができていない。

しかし、今回私が見たすべてのキャストは完璧だった。

アーニャ役の木下晴香、ロミオとジュリエットで出てきた時(当時は10代)から安定した歌唱力を見せていたので、「思った通りの素晴らしさ」という感想になるのだが、歌についてはもういうことがないのでやめよう。

貧困の中を生き延びてきたサバイバーでありながら、高貴な生まれならではの品の良さも同時に表現するなど、表現者として素晴らしいと思った。

ディミトリの海宝直人は、高音が特に心地よく、もうこれ聞いたら帰ってもいいわ、ぐらいの気持ちよさ。またしてもここで海宝劇場再び、という感じである。

相葉裕樹のディミトリはやっぱり熱い、そして内海啓貴のディミトリは「私がイメージするディミトリ」に一番近かった。

内海啓貴のディミトリは、3人の中で一番ピュアな感じがしたので個人的に好みのディミトリだった。

グレヴは、3人とも全員解釈が異なっていて非常に面白いことになっていた。

堂珍善邦のグレヴは優しいグレヴ、過去の苦しみも全部こらえて自分の使命とは何かについて常に考えているグレヴ。

反対に、田代万里生のグレヴは、一番傷ついたグレヴ、そしてドラマティック。

「そんなに力入れて生きなくてもいいから、ホラこっちきて、ギュッとハグしてあげるから」とでも言いたくなるような、ギリギリの精神で生きてるグレヴだった。

「ア~ニャ~!」と叫んで歌うシーンでは、客席からこっちが「グレヴー!万里生ー!」と言いたくなったではないか。

海宝直人グレヴは、優しいけれど、堂珍善邦グレヴとは違う優しさかな。

瞳がきれいなので、アーニャを慕う子犬のようなグレヴだった。

ヴラドの大澄賢也には、今回少し驚いた。

・・・というのも、大澄賢也は歌唱はあまり得意ではないと思っていたからだ。

直近では2023年3月に『ジェーン・エア』で見ているが、その時も歌唱はあまり得意ではないのね、という感想だった。

しかし、今回「あれ?歌がすごく良い」と純粋に思った。

Wキャストが石川禅だから、猛特訓したんだろうか?

・・・まあ、いいや。

とにかく、チャーミングでセクシーなヴラドでとってもよかった。

リリーと二人で踊るシーンも、大人の色気満載で、とても好きなシーン!

石川禅ヴラドも、何一つ裏切られることなく、物語を支える安定した存在、という感じ。

ところでヴラドは、リリーから「でもダイヤモンド盗んだでしょ?」と言われ、「えへへ」と笑うシーンがあるのだが、それって窃盗じゃないの?(笑)

それとも、感覚的には「うちのリビングのテーブルの上にあったチョコレート食べたでしょ?」ぐらいのものなのかしら?

リリー役の3名もそれぞれ個性的。

2幕のパリのロシア人御用達バーでのリリーの立ち回りが最高だ。

一番キレの良い踊りを魅せるのが朝海ひかるリリー。

セレブの匂いしかしない、気品のあるマルシアリリー。

そして、チャーミングで可愛らしい堀内敬子リリー。

3名とも素晴らしかったが、個人的には堀内敬子リリーがとにかく可愛い!と思った。

堀内敬子は、いつからかふっくらとするようになって、それがまた非常に魅力的である。

多くの女優は、それもヒロインを演じてきたような女優であればなおさら、年齢を重ねても身体は絞る人のほうが多いのだけれど、彼女はあえてそれをしていないのは何か戦略なのか?

とにかく実力余すところなく全部発揮しました、という感じのリリーだった。

ダブルキャスト、トリプルキャストのプリンシパルのうち、数人は、ケガや病気で休演することがあったが、なんとマリア皇太后は麻実れいのシングルキャストであり、少なくとも東京公演では彼女が最初から最後まで、麻実れいがマリア皇太后であった。

今回、4回見たが、最初の1回の「一番の印象」が、「マリア皇太后様すごい!威厳ある!まさしく皇太后さま!」という感想だった。

それぐらい立っているだけで、The皇太后、麻実れいの存在感、半端ないな、とあらためてひれ伏したくなった。

ちなみに、皇太后役のアンダーは誰なんだろう?

仮に何かの理由で麻実れいが出演できない場合は、朝海ひかる、マルシア、堀内敬子あたりが、皇太后役をやるんだろうか?

アンサンブルなど

リトルアナスタシアが、大きくなった「少女」時代のアナスタシアは、井上花菜。

華奢で、少女の面影を残している井上花菜だからこそできた少女アナスタシア、とってもかわいかった。

武藤寛は、ニコライ2世も演じていたが、印象に残ったのはイポリトフ伯爵のほう。
何かを悟ったかのような寂しい目が印象的。

パリのバーのシーンで、ひときわ目を引いたのが、山本晴美、華奢な曲線が美しい。

同じくパリのバーのシーンでは、全員が酔いつぶれる前の酒井 大のフェッテが印象に残った。

私が書いています
運営者情報

姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

続きを見る

キャストボード

2023/9/14ソワレ

2023/9/16ソワレ

2023/9/26ソワレ

2023/10/5マチネ

シアターオーブの景色

シアターオーブは好きな劇場の一つ。

2023/9/16の東京は、まだ残暑が残っていた。

二階席ホワイエ

渋谷の街と夕日

作品情報

キャストなど

キャスト

アーニャ:葵わかな/木下晴香
ディミトリ:海宝直人/相葉裕樹/内海啓貴
グレヴ:堂珍善邦/田代万里生/海宝直人
ヴラド:大澄賢也/石川禅
リリー:朝海ひかる/マルシア/堀内敬子
マリア皇太后:麻実れい

五十嵐 耕司、伊坂 文月、井上花菜、工藤彩、熊澤沙穂、小島亜莉沙、酒井 大、 渡久地真理子、西岡憲吾、武藤寛、村井成仁、山中美奈、山本晴美

リトルアナスタシア:内 夢華/鈴木 蒼奈/戸張 柚

スイング:草場 有輝、篠崎 未伶雅

演出・音楽・振付等

翻訳・訳詞:高橋 亜子
音楽スーパーバイザー補:八幡 茂
指揮:小林 恵子
振付補:三井 聡
照明補:大島 祐夫
音響補:山本 浩一
ヘアメイク補:中原 雅子
歌唱指導:山川 高風、やまぐち あきこ
稽古ピアノ:栗山 梢、若林 優美
演出補通訳:寺田 ゆい
振付補通訳:吉田 英美
演出助手:坂本 聖子、下平 慶祐
舞台監督:菅田 幸夫、徳永 泰子
技術監督:清水 重光

<<オリジナルクリエイティブスタッフ>>
脚本:テレンス・マクナリー
音楽:ステファン・フラハティ
作詞:リン・アレンス
振付:ペギー・ヒッキー
演出:ダルコ・トレスニャク

-2023年上演