久しぶりに新国立劇場の「小劇場」を訪れることになった。
歌で綴られるノンフィクション。
ほっこり優しくて不思議な空間だった。
なお、「ぼく」と「大切な人たち」役は、浦井健治と成河が、それぞれ入れ替わる形のWキャストだったが、両パターン観劇。
「母」役も、濱田めぐみと柚希礼音のWキャストだったが、こちらも両方観劇。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
COLOR
会場
新国立劇場 小劇場
観劇日
2022/9/10(Sat)ソワレ
2022/9/23(Fri)ソワレ
リリックなノンフィクション
小劇場ということで、かなり客席から舞台が近い。
特に2回とも、3列目、4列目でみたので、自分が舞台と一体になっているような感覚。
舞台下手(しもて)にピアノとドラム、演奏はすべてこの2人によって行われていた。
演奏者の息遣いも見えるので、より自分が空間に溶け込んでいるような感覚になれて気持ち良かった。
「ぼく:浦井健治」×「母:柚希礼音」×「大切な人たち:成河」
私にとって柚希礼音のイメージは「女豹」。
セクシーで野性的なイメージが強かった、そう、マタハリなんかはとても合っていたし。
なので、今回は「一般家庭のお母さん」と聞いて、ちょっとびっくりだった。
・・・ということはセクシーなダンスシーンとかないだろうし。
しかも18歳の息子のお母さんを演じるには、年齢的にもちょっと早いのでは?という気がした。
しかし幕が上がってそんな思い込みはすぐに吹き飛んだ。
ちょっと色が浅黒くて大柄なおっかさん、確かにこういうおっかさん、いそうだねぇ、そんな「母」だった。
一見肝っ玉かあさんに見えるのに、息子のことになるとオロオロしたり、かと思うと、突然腹を据えてデン!としたり、ああ、この揺れ幅、母ってこんな感じかも。
浦井健治の「ぼく」にはピュアな感性が感じられた。
美大に通う男子学生ならではの繊細さや、記憶を失って幼児のようになってしまった青年の無垢さが、垣間見られた。
また、このストーリーの中で「大切な人たち」という役は、複数の役を一人が演じている。
記憶を失った青年に本を書かせようとする編集者、青年の父、青年の同級生、などなど。
これを演じた成河、どれをやっても違和感がないのがすごい。
青年の父は、工場勤務の管理職なのかジャンパーを羽織ってネクタイをしている。
そして別のシーンではギターを背負った大学生。
そのどちらもが違和感なく、「あー、いるよね、こういう人」と説得力あるのが、すごい。
「ぼく:成河」×「母:濱田めぐみ」×「大切な人たち:浦井健治」
私は個人的には、善良な「人間」を演じている濱田めぐみが好き。
優しくてあったかいお母さんだった。
泣き叫ぶ歌から、ささやきのような歌まで、声で物語をつづるには、この歌唱力は必須。
なんとなく・・・だけれど、この役、濱田めぐみが希望したのかな、という気がした。(いや、制作側の事情なんてしらないけど)
さて、濱田めぐみの「母」の回は、「ぼく」が成河で「大切な人たち」が浦井健治だ。
キャストが変わると、雰囲気が少し変わるのが面白い。
記憶をなくして、世界のなにもかもが「なぜ?」だらけになってしまった成河演じる「ぼく」の歌が、ほぼ絶叫に近い叫びで、ほんのり泣けてきた。
わからないということは、時に悲しい。
浦井健治の青年の友人が、大学生というよりチンピラみたいな恰好で面白かった。
・・・というか、可愛い。(笑)
花粉症で花詰まらせて、ぐじゅぐじゅやるシーンで、客席に笑いが起こっていたけれど、これは別キャストバージョンでは起こらなかった笑い。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
ぼく/大切な人たち:浦井健治
ぼく/大切な人たち:成河
母:濱田めぐみ
母:柚希礼音
組み合わせは以下の2パターン
「ぼく:浦井健治」×「母:柚希礼音」×「大切な人たち:成河」
「ぼく:成河」×「母:濱田めぐみ」×「大切な人たち:浦井健治」
よって、浦井健治×濱田めぐみや、成河×柚希礼音のパターンは無い。
演出・音楽・振付等
原作:坪倉優介「記憶喪失になったぼくが見た世界」
音楽・歌詞:植村花菜
脚本・歌詞:高橋知伽江
演出:小山ゆうな
編曲・音楽監督:木原健太郎
振付:川崎悦子
美術:乘峯雅寛
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
映像:上田大樹
衣裳:半田悦子
ヘアメイク:林みゆき
ボーカルスーパーバイザー:ちあきしん
演出助手:守屋由貴/野田麻衣
舞台監督:加藤高