2022年上演

【2022年】舞台がとっても近くに感じた『リーディングプロジェクト』(by橋爪功)

reading-project

https://lasfloresrojas.com

日本の南のほうでは台風が上陸していた9月も半ばを過ぎた「敬老の日」に、雨が降りしきる中、橋爪功演出による朗読劇企画リーディングプロジェクトの第一弾公演を見に、草月ホールに足を運んだ。

この公演のことを知ったのは、井上芳雄が出演していたから。

彼は、かつては(いまでも?)ミュージカル界のプリンスと言われながらも、ミュージカルのみならず、ジャンルの異なるアーティストと積極的に仕事をしている印象がある。

それは本人の戦略なのか、事務所の戦略なのか、・・・実はとっても気になっている。

観客としては、もちろんWelcomeだ。

アーティストを多面的に見ることができるのだから、こんなに面白いことはない。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

リーディングプロジェクト

会場

草月ホール

観劇日

2022/09/19(Mon・祝)マチネ 千秋楽

舞台は2部構成

舞台は2部構成だった。

リーディングプロジェクト、というぐらいなので、1部も2部も「朗読劇」である。

第一幕「関節話法」

筒井康隆の短編小説を元にした作品だそうだ。

そもそもストーリー自体が面白かった。

朗読をするのは橋爪功だけ。

世界的なタップダンサーであるRONxIIが、「身体の関節を鳴らして会話をする」男性を、まったくセリフをしゃべらず演じる、という非常に変わった演出。

関節がポキポキなる音は、タップシューズで表現される。

男性の感情は、RONxIIの顔筋を含めた筋肉で表現される、つまり、マイムで表現される。

この演出を思いついた橋爪功は、エンターテイナーとして非凡、とてもユニーク。

また、タップダンスというのは、大きなステージでパフォーマンスされることが多いように思うので(違ってたらすいません)、こんなに近くでタップが見れる、というのも珍しい機会だと思った。

ちなみにRONxIIを見るのは初めてだったが、北野武監督の座頭市のタップシーンで踊っていた人らしい・・・

あの映画にはタップダンサーがたくさん出ていたので、もう一度見直せば、RONxIIが確認できるかな?

第二幕「船を待つ」

この作品は、橋爪功が昨年出演したNHK-FMのラジオドラマ「船を待つ」を橋爪功が再構築したものらしく、調べると、脚本の作者は「三國月々子」という方のようだ。

何とも言えない不思議なストーリーだったが、井上芳雄が老人で、橋爪功が少年、というのも面白かった。

ストーリーは、自暴自棄になって死んだ(?)青年が、現世と黄泉の国の間ぐらいの場所にたどり着き、そこで青年は老人になっていた、というところから始まる。

さらにその不思議な世界では、老人は幼少期に早世してしまった友達と会い、彼と話しているうちに、生きる理由を見つけて現世に帰っていく、というもの。

ひとことでいうと、親に愛されなかった青年(現世と黄泉の国の間ぐらいの場所では老人)が、そのつらさを乗り越える話なのかなぁ・・・

ギャンブラーでも、お金持ちの慈善家でもない、ましてや死神でもない井上芳雄を見ることができて、とても満足、である。

舞台が近い!

前から4列目から見たせいもあるが、草月ホールはかなりこじんまりとしているので、舞台が非常に近い!

舞台上のアーティストの汗や、細かい表情筋の動きまで見えるし、息を吸う音までもが聞こえる。

朗読劇には、これぐらいの距離感がちょうどよいのかも。

橋爪功という俳優

舞台で橋爪功をみるのは、いつぶりだったろうか?

おそらく私が最初に彼を舞台で見たのが、野田秀樹の「十二夜」でマルヴォーリオを演じていた時だったと思う。

その「十二夜」だが、今調べたら、なんと1986年7月上演。36年前か!

そうだ、その頃私はまだ高校にすら進学していない、中学生だったんだ。。。。

ちなみに、幕が上がって最初に思ったのが「あれ?橋爪功って何歳?」ということ。

かなり以前から活躍している俳優なので、そんなに若いはずがない。

幕間に調べたら、81歳!

公演期間中の9/17に誕生日を迎えていたようだ。

人生100年時代だから、81歳も現役だ!

私が書いています
運営者情報

姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

続きを見る

作品情報

キャストなど

キャスト

橋爪 功
井上芳雄
RON×Ⅱ

演出・音楽・振付等

演出:橋爪 功
演奏:渡部玄一

-2022年上演