2024年の観劇納めは、日生劇場にて、『天保十二年のシェイクスピア』となった。
しかも、千秋楽の前日にギリギリ駆け込んだ、というところだ。
1974年初演の本作品、私が観劇するのは、実は初めてである。
シェイクスピアの複数の物語を模した舞台が天保時代の江戸、という前情報だけで観劇。
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『天保十二年のシェイクスピア』
会場
日生劇場
観劇日
2024/12/28(Sat)ソワレ
猥雑でカオスで美しくて
木場勝己の口上で始まり、最初のミュージカルナンバーのコーラスを聞いた瞬間、「あ、このテイスト、けっこう好きなやつ」と直観。
「もーしもシェイクスピアがいなかったらー、ああん~♪」という若干演歌のようなこぶし入りのミュージカルナンバーは、一度聞いただけで、耳に残ってしまった。すごい!
これまでいくつか見た井上ひさし作品には、かなり露骨な性表現もあったと記憶しているのだが、当作品はそれをギュッと濃縮させた感じ。
幕間で40歳ぐらいの男性が、「息子を誘おうかと思ったがやめておいてよかった。」と連れの人と話していた。
息子さんは未成年なんだろうか。
確かに、舞台上で俳優が腰を振っているシーンは、未成年には見せたくないかもしれない。
そんな猥雑な要素も含みつつ、舞台は色鮮やかな和服に、粋なダンスナンバーで、とにかく華やか。
佐渡の三世次は浦井健治。ほかの役者では見たことがないので比較のしようがないのだが、醜い男、という設定の割には、イケメンの面影は隠せないのがなんとも彼らしい。
小競り合いを続ける長女と次女が、瀬奈じゅんと土井ケイト。二人のあくが強くて強烈な個性が舞台上で際立つこと際立つこと。
登場した瞬間に、その色気に完全にノックアウトさせられそうになったのが、きじるしの王次の大貫勇輔。ロミオとジュリエット(2011年)で「死」を演じた時からずっと注目しているけれど、やはり、この人、すごいオーラを持っているな、と改めて実感。
そして今回とりわけ、きれいだなぁ、と目を奪われたのが綾 凰華。出番は多くなかったのだが、「行け尼寺へ!」の悲劇のオフィーリアを演じていた。若いころの涼風真世に見えたのかなぁ?とにかく透明感があって美しかった。
シェイクスピアの知識はあってもなくても
この作品は、シェイクスピアをよく知っていたら、ニヤリとできるところが増えるのかもしれないが、私は、シェイクスピアの知識はあってもなくてもどちらでも楽しめると思った。
どの作品に対しても言えることが、舞台芸術は舞台で表現されていることがすべてなので、観客側が何かしらの知識をもっていることを前提としている、ということは絶対にないし、観客によって受け取るものが違うので、それはそれでいいのだ。
ちなみに、私は、リチャード二世、リチャード三世、ヘンリー五世あたりは、そもそも知らない。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
佐渡の三世次:浦井健治
きじるしの王次:大貫勇輔
お光/おさち:唯月ふうか
お里:土井ケイト
よだれ牛の紋太/蝮の九郎治/飯岡の助五郎:阿部 裕
小見川の花平/笹川の繁蔵:玉置孝匡
お文:瀬奈じゅん
鰤の十兵衛:中村梅雀
尾瀬の幕兵衛:章平
佐吉:猪野広樹
お冬:綾 凰華
浮舟太夫:福田えり
清滝の老婆/飯炊きのおこま婆:梅沢昌代
隊長:木場勝己
妹尾正文
新川將人
出口雅敏
武者真由
森 加織
山野靖博
天瀬はつひ
斎藤准一郎
下 あすみ
鈴木凌平
中嶋紗希
藤咲みどり
古川隼大
水島 渓
水野貴以
演出・音楽・振付等
作:井上ひさし
音楽:宮川彬良
演出:藤田俊太郎
振付:新海絵理子
日本舞踊:花柳寿楽
アクションコーディネーター:諸鍛冶裕太
美術:松井るみ
照明:勝柴次朗
音響:山本 浩一
衣裳:有村 淳
ヘアメイク:野澤幸雄
映像:横山 翼
歌唱指導:林アキラ
照明助手:日下靖順
衣裳助手:川崎千絵
衣裳制作(松竹衣裳):飯塚直子
ヘアメイク助手:富塚りさ
稽古ピアノ:宮川知子
音楽コーディネート:森岡孝夫
舞台監督:中村貴彦,弘中 勲
演出助手:郷田拓実,鄭光誠
制作助手:中尾 遥
アシスタントプロデューサー:橋本 薫
アソシエイトプロデューサー:渡邊 隆
プロデューサー:今村眞治
宣伝写真:森崎恵美子
特殊メイク:土肥良成
タトゥーペイント:H&Ms Tattoo
宣伝美術:菅沼結美
製作:東宝
最終更新日 2024年12月31日