私は、「自分の年齢マイナス10年」ほど主にミュージカルを見続けている、自称舞台愛好家である。
しかし、この古典の名作『王様と私』は実は見たことがなかった!
あの有名なナンバー、シャルウィーダンスは聞いたことはあれど、全幕で見たことがなかったのだ。
観た感想としては、古い作品なのにテーマはそれほど色あせてない、むしろ新しい、という印象だ。
なお子役は2チームに分かれていたようだが、残念ながら片方しか見れず。
チュラロンコン王子は前田武蔵、ルイスは田中誠人、王子・王女たちは「チームドラゴン」で観劇。
また、プリンシパルはすべてシングルキャストだったが、タプティム役の朝月希和が休演の際は、同役を伊藤かの子で観劇。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『王様と私』
会場
日生劇場
観劇日
2024/4/25(Thr)ソワレ
2024/4/28(Sun)マチネ
なぜ今まで当作品を観劇してなかったのか?
こんなに有名な作品、なぜ今の今まで観劇していなかったのか?と思い、日本における当作品の上演歴を調べてみた。
直近が2012年、つまり12年前だ。
ちょうどその頃は、私にとっての観劇ブランクの期間にあたる。
仕事が多忙であまり舞台鑑賞をしていなかった時期だ。
松平健&紫吹淳の王様とアンナに、はいだしょうこのタプティム、そして、ルン・タに藤岡正明と石井一彰のダブルキャスト!
このルン・タのキャスティングは魅力的!見ておきたかったな。
さらにその前が、やっぱり13年遡って前の、1999年と1996年。
髙嶋政宏&一路真輝コンビバージョンだ。
このころは、エリザベートはチェックしていても、王様と私はチェックしてなかったんだな、きっと。
舞台に銀橋が!
舞台と客席との間にオーケストラボックスがある。
そして、客席とオーケストラボックスの間に、通路、いわゆる銀橋があったので、とても驚いた!
しばらく「銀橋(ぎんきょう)」というワードが思い出せなかったぐらいだ。
銀橋といえば、宝塚歌劇ではよく見たが(最近は見ていないのでわからない)、宝塚歌劇以外で銀橋を見たのは、たぶん初めてかと思う。
銀橋は、舞台を立体的に見せる目的でも使われていたし、出演者を客席にぐっと近づける目的でも使われていた。
特に、王様とアンナが銀橋に出てくるシーンでは、1階席から見ると、彼らがとても近く感じられた。
古い作品なのに新しい
この作品は、マーガレット・ランドンが1944年に発表した小説『アンナとシャム王』が元である。
なんと80年前の小説!
さすがに奴隷制度は現代にはないが(奴隷状態の労働者の存在はあるであろう)、特権階級とそれ以外の者の間にある不平等や、女性の地位の低さについても、今見ても全く「違和感ない」と言わざるを得なかった。
(特に日本における女性の地位の低さは、先進国とは思えないほどだから・・・)
2022年に『ガイズ&ドールズ』を見たときには、さすがにこの作品の各所のディテールは古い!と思わざるを得なかったが、『王様と私』には、まったくそれを感じなかった。
出演者について
北村一輝 がミュージカル初出演ということだったが、「へー、そうなんだ」という感じ。
コワモテなのに「何もわからん」といじける姿など愛らしいし、歌にもそれほど違和感は感じなかった。
アンナの明日海りおは、すべてにおいて品があって素晴らしかった。
封建的な態度を崩そうとしない王に怒り狂うナンバーにおいても、エレガントである。
歌唱の点でダントツに素晴らしかったのが、チャン王妃の木村花代 とルンタの竹内將人。
チャン王妃の木村花代は、大勢いる后の代表みたいな立ち位置なんだと思うが、貫禄たっぷりで、いつのまに、こんなに貫禄のあるキャラクターになっていたんだろう、とびっくり。
タプティム役は、朝月希和のシングルキャストであったが、 朝月希和休演中には伊藤かの子でも観劇。
はかなげで可憐な朝月希和のタプティム、それと全く逆で、意志の強そうな伊藤かの子のタプティム、両方見れてよかった。
同じ役でも、キャストが変わると、こうも変わるんだ、という醍醐味を味わえた。
クララホム首相の小西遼生は、いかにも封建的な王に従順な部下という感じで、今回は色気はだだ漏らせていなかった。(笑)
ラムゼイ卿の中河内雅貴は、少しふっくらした?それともメイクのせい?エレガントな紳士であった。
今 拓哉のオルトン船長が歌わなかったのは残念だったが、葉巻を吸うシーンが好き。
本当に絵になる船長さんだった。
チュラロンコン王子の前田武蔵は、成人男子の体をそのまま小さくしたような小さな紳士。
あともう少ししたら「子役」としては見れなくなるんだろうな、という微妙な時期。
調べたところ。2010年生まれの13歳。
後ろ姿で演技していたのもすばらしい。
ルイス役の田中誠人は、声がよくて聞きほれた。
一番小さな王女は、あの井澤美遥。
王様も、この小さな王女の前ではメロメロな様子になるのも面白かった。
アンサンブルでは、冒頭のシャムの港町で、魚をさばいている女性の島田彩、小道具の魚が飛び跳ねて本当に生きている魚をさばいているみたいで芸が細かいなぁ、という印象を持ったのと、ソロの踊りを披露する松田未莉亜が美しい。
松田未莉亜は、若かりし日の毬谷友子を思い出させる。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
王様:北村一輝
アンナ:明日海りお
タプティム:朝月希和
ルンタ:竹内將人
チャン王妃:木村花代
ラムゼイ卿:中河内雅貴
オルトン船長:今 拓哉
クララホム首相:小西遼生
(アンサンブル)
井口大地,伊藤かの子,風間無限,笠行眞綺,金子桃子,河野駿介,黒田 陸,酒井 航,島田 彩,鈴木遼太,聖司朗,西尾真由子,福満美帆,松田未莉亜,丸山泰右,宮河愛一郎,村上貴亮,村上すず子,矢野友実,吉田玲菜
(スウィング)
油井杏奈,植木達也
チュラロンコン王子:立石麟太郎/前田武蔵(Wキャスト)
ルイス:木村亜有夢/田中誠人(Wキャスト)
王子・王女(Wキャスト 日替わり出演)
有澤 奏/井澤美遥/猪股怜生/大久保実生/川田玲那/木村日鞠/木村律花/杉山穂乃果/
髙橋玲香/戸張 柚/中西 縁/萩沢結夢/古正悠希也/森田みなも/若井愛夏/若杉葉奈
演出・音楽・振付等
音楽:リチャード・ロジャース
脚本・歌詞:オスカー・ハマースタインⅡ
翻訳・訳詞・演出:小林 香 MESSAGE
振付:エミリー・モルトビー
音楽監督・歌唱指導:山口琇也 美術:松井るみ 照明:髙見和義
音響:山本浩一 衣裳:有村 淳(宝塚歌劇団) ヘアメイク:馮 啓孝
オーケストラ:東宝ミュージック/新音楽協会
演出助手:斎藤 歩/時枝正俊 舞台監督:本田和男
制作:田中景子/橋本 薫
プロデューサー:小嶋麻倫子/塚田淳一
製作:東宝