2024年上演

【2024年】実は血なまぐさい『マシュー・ボーンのロミオ+ジュリエット』

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「ロミオとジュリエット」ではなく、『マシュー・ボーンのロミオ+ジュリエット』である。

マシュー・ボーンについては、ロンドンのサドラーズウェルズで『くるみ割り人形』もみたし、あの話題作『白鳥の湖』にいたっては、来日公演の際に何度も足を運んだ。

だから、マシュー・ボーンは古典を大胆にアレンジするんだ、ぐらいの覚悟はあった。

しかし、ここ数年、私はバレエ鑑賞から遠ざかっていたので、2019年に発表されたというこの話題作『マシュー・ボーンのロミオ+ジュリエット』については、どんな大胆な解釈がされているのかを全く知らない状態で鑑賞した。

よって、度肝抜かれた。

そっか、ロミオとジュリエットってよく考えたら殺し合いの血なまぐさい話だったよね・・・・とショックを受ける羽目に。

なお、私は、ロミオはパリス・フィッツパトリック、ジュリエットはモニーク・ジョナス、ティボルトはダニー・ルーベンス、で鑑賞。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『マシュー・ボーンのロミオ+ジュリエット』

会場

東急シアターオーブ

観劇日

2024/4/14(Sun)マチネ

ショッキングすぎた

まず冒頭からして、白い服をきたロミオとジュリエットが、おどろおどろしく血塗られている様子から始まる。

そこからして、「そうか、ロミオとジュリエットって、初々しい若者の初恋物語と認識していたけれど、殺し合いや自死といった、超血なまぐさい話でもあったんだ。」ということを見せつけられる。

じわっとショックを受ける。
本当に舞台から血の匂いがしてきそうな始まりだった。

そして、ここはどこ?

どうやら、医療少年院のようなところらしい。

ロミオとジュリエットは、医療少年院のようなところに収容されている。

仮装パーティは、教官が目を離すと、乱交のような状況になっている。

うううう・・・・攻めるね、マシュー・ボーンさん、とここでも唸る。

そして、ジュリエットに執拗に付きまとっている看守は、最初はパリスだと思っていた。

ところが、あとから、こいつはティボルトだとわかる。

なんと、この看守、ジュリエットを性的に搾取しているのである。

そういう描写も、ものすごくショッキングだ。

マキューシオがティボルトに「刺殺ではなく銃殺」、ティボルトはロミオに刺されるのではなく「少年たちに集団で絞殺」されるところまでは、驚きとともに受け入れられた。

しかし・・・

しかし・・・

しかし・・・

ロミオの死因は服毒自殺ではなく、ジュリエットに刺されて死ぬ、というのが、超絶ショッキングだった。

つまり、ジュリエットと愛をかわそうとしたロミオは、過去にティボルトから搾取された記憶とともに混乱したジュリエットに、誤って刺されてしまう、というストーリーなのだ。

噓でしょ!ロミオがジュリエットに刺されるなんて!

これはどうしても受け入れられない、なんでこうなるんだ。

また、この物語には、パリスも乳母も、神父様も出てこない。

モンタギュー夫妻はでてきても、キャピュレット夫妻は出てこない。

そこも、ちょっと受け入れがたいなぁ、と思った。

ダンサーたち

ロミオ役のパリス・フィッツパトリックが、華奢でキュートな感じが、私のイメージするロミオそのものだった。

幼くて、まだ世の中のことをあまり知らない、という無垢さがとても出ていた。

また、ジュリエット役のモニーク・ジョナスは逆に、たくましさを感じた。

ニューアドベンチャーズのダンサーは、傾向として大地に根を下ろしているようなたくましいかんじがする。

今回の作品もそんな感じだった。

まとめ

すごい作品だな、と思う同時に、個人的には受け入れにくい、という印象を持ってしまった。

確かに、若者を一堂に集める施設における虐待や性的搾取は社会問題になっているし、そういう世相を反映している気もしたが、個人的にはやっぱり、もうちょっと美しい部分を見たかったよ、というのが私の感想である。

キャストボード

今回のキャストボード

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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

ニュー・アドベンチャーズ
ロミオ … パリス・フィッツパトリック / ジャクソン・フィッシュ / ロリー・マクラウド
ジュリエット … モニーク・ジョナス / ハンナ・クレマー / ブライオニー・ペニントン
ティボルト … マシュー・エイモス / キャメロン・フリン / ダニー・ルーベンス / アダム・ガルブレイス
マキューシオ … キャメロン・フリン / ロリー・マクラウド / ハリー・オンドラック-ライト
ベンヴォーリオ … アダム・デイヴィース / キャメロン・フリン / ユアン・ガレット/ ロリー・マクラウド

レオナルド・マッコーキンデイル、ターシャ・チュウ、デイジー・メイ・ケンプ、ケイト・リオンズ、アラン・ヴィンセント、タニシャ・アディコット、アニャ・ファーディナンド、釜萢来美、ブルー・マクワナ、カーラ・コンティーニ、エレナー・マクグラス、ガブリエル・デ・ソウザ、ライラ・トレグラウン、ルイス・ハリス、ディラン・ジョーンズ、イヴ・ンボコタ

演出・音楽・振付等

原作:ウィリアム・シェイクスピア
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
演出・振付:マシュー・ボーン
美術・衣裳デザイン:レズ・ブラザーストン
照明:ポール・コンスタブル
音響:ポール・グルースイス
オーケストレーション:テリー・デイヴィス

最終更新日 2024年4月20日

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