好きな作品の一つ、『モーツァルト』。
2024年版も、豪華キャストに支えられた素晴らしい舞台だった。
Wキャストのヴォルフガングは、古川雄大と京本大我をコンプリート、
Wキャストのヴァルトシュテッテン男爵夫人は、涼風真世と香寿たつきをコンプリート、
トリプルキャストのアマデは、白石ひまりと星駿成と若杉葉奈のすべてをコンプリート。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『モーツァルト』
会場
帝国劇場
観劇日
2024/9/3(Tue)ソワレ
2024/9/13(Fri)マチネ
2024/9/23(Mon)マチネ
※今回はどういうわけか「3」のつく日に観劇。(偶然)
華があってかっこいいシカネーダ
今回は、かなりうれしい驚き。
遠山裕介のシカネーダーが、ガラッと印象を変えてきたこと。
ちなみに、前回の2021年も、その前の2018年も、シカネーダーの役は遠山裕介が演じていたが、その時はそれほど良いとは思わなかったのだ。
何が違うんだろう?
2021年の記憶も、2018年の記憶も、すでに遠い過去のものになっているので思い出すのがすごく難しいのだが、おそらく歌唱力がかなり上がっているせいじゃないか、と思う。
また、ふるまい一つ一つに自信のようなものがみなぎっていて、「貫禄がついたな」という印象だった。
元がダンサーなので、ダンスシーンや一つ一つの所作は美しい。
そこへ、張りのある声と歌唱力、自信あふれる所作が加わったので、無敵だったのだ。
彼が出ているシーンは、ずっと彼を目で追いかけてしまっていたぐらいだ。
また、2幕冒頭のシーンでは、シカネーダーがヴァルトシュテッテン男爵夫人と、舞台センターで目配せするシーンがある。
あのシーンはとっても好き。
特にヴァルトシュテッテンが涼風真世の時は、かつての同士との再会を喜んでいるようで感慨深い。
5代目モーツァルト京本大我
5代目モーツァルトに京本大我。
これまで見たモーツァルト(といっても私は中川晃教のモーツァルトは見てないのだが)の中で、一番子供っぽい感じを前面に出したモーツァルトかな?という気がした。
ピュアで傷つきやすい、というのが、すんなり理解できるようなモーツァルトだった。
演技力が素晴らしかっただけに、歌唱は少し残念。
特に低音が苦手なのかな。
豪華キャスト
それにしても、なんて豪華なキャストなんだろう。
今回のコンスタンツェは真彩希帆。
歴代のコンスタンツェはどれも素晴らしかったが、私は1曲の中であんなにメリハリのあるドラマを含んだ「ダンスはやめられない」を聞いたことがない。
圧巻!
その一言に尽きる。
ナンネールには大塚千弘。
最初キャスティングを見たときには、若干「意外」な感じがしたが、実際幕が上がってみると、少女時代はとても可愛いナンネールであったし、大人になってからは気丈な女性だった。
大塚千弘のナンネールについては、レオポルトが死んだ、とモーツァルトに伝えに来るシーンが、一番印象的だ。
一種の憎しみのような、悔しさのような表情を浮かべて、レオポルトの死を告げる。
なんとも形容しがたい表情だった。
「終わりのない音楽がこの世にあるかしら」という歌詞を含んだナンバー、以前どこかのコンサートで、大塚千弘が歌うのを聞いたことがあった。
「もし私が男なら、音楽を続けた」という歌詞がとても切ない。
ちなみに、大塚千弘は2005年公演では、名古屋・福岡公演のみの参加だが、コンスタンツェを演じていたらしい。
19年の時を経て、コンスタンツェからナンネールになっているのなら、あと15年後には、ぜひヴァルトシュテッテン男爵夫人を演じてほしい!
ぜひ!ぜひ!
コロレド大司教は2002年初演から、ずーーっと山口祐一郎。
22年前からずっとコロレド大司教は、山口祐一郎というのもすごい。
ちなみに、半年ぶりぐらいに見る山口祐一郎は一段と若返って見えた。
なんとも不思議。
コロレド大司教に仕えるアルコ伯爵に、今回は、中西勝之。
この人が脇役で登場してくると、舞台がきりっと引き締まる。
数小節歌うだけでも、舞台全体ががっちり引き締まるのが素晴らしい。
2002年初演から、ずーーっと同じ、という点では、レオポルトの市村正親もそうだ。
一瞬、セリフの滑舌が「あれ?」と聞き取りにくい日があったが、それは一瞬のことだったようだ。
ヴァルトシュテッテンには、安定の涼風真世と香寿たつき。
「星から降る金」はとにかく名曲。
この曲だけ聞いても、チケット代はペイしているとすら思う。
セシリアには、今回初めて未来優希が配役。
この役は、2002年からずっと阿知波悟美が演じていた役だが、ちょうど彼女はビリー・エリオットのおばあちゃん役をやっているので、今回はモーツァルトへの出演はできなかったのだろう。
未来優希のセシリアは、肉布団をいれているのか、本人が(役のために?)太ったのかわからないのだが、ヒョウ柄のどぎついけれどスタイリッシュなあのドレスに身を包んだ豊満なボディが印象的だった。
『エリザベート』のマダム・ヴォルフの衣装や髪形にそっくりなので、ときおり「いまは、モーツァルトを見ている、モーツァルトを見ている」と客席で確認している自分がいた。
アマデは3人とも鑑賞したが、若杉葉奈の目鼻立ちの美しさには、特に目を奪われた。
最後に・・・・、ヴォルフガングの古川雄大、3回目のヴォルフガングとあって、より役へのアプローチが複雑になってきているな、という印象があった。
今回、京本大我が非常に無邪気でピュアなモーツァルトを演じているので、古川雄大は少し暗い陰のあるアンニュイなモーツァルトに感じられた。
印象に残ったアンサンブル
セシリアの4人娘のうちの、おバカ娘が松田未莉亜。
とにかく可愛い。
また、アンサンブルのダンスシーンで、切れのいい動きをする女性アンサンブルを目で追うと、たいてい松田未莉亜。
セシリアの4人娘のうちの、美人歌手は彩花まり(前回までは秋園美緒)。
華やかで美しい。
ナンネールの夫役には朝隈濯朗。
生真面目で冗談が通じなそうな、やや陰キャの独特なキャラクターがめちゃくちゃ印象に残った。
セシリアの2番目の夫が後藤晋彦。
胸板が素敵。
ちなみに、パリで市民が蜂起したぞ!と歌うウイーン市民のうち、「支配者よ、死ね!」と叫んでいるのも彼。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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キャストボード
作品情報
キャストなど
キャスト
ヴォルフガング・モーツァルト:古川雄大/京本大我(Wキャスト)
コンスタンツェ(モーツァルトの妻):真彩希帆
ナンネール(モーツァルトの姉):大塚千弘
ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風真世/香寿たつき(Wキャスト)
コロレド大司教:山口祐一郎
レオポルト(モーツァルトの父):市村正親
セシリア・ウェーバー(コンスタンツェの母):未来優希
エマヌエル・シカネーダー(劇場支配人):遠山裕介
アントン・メスマー(医師):松井 工
アルコ伯爵(コロレドの部下):中西勝之
■アンサンブル
朝隈濯朗/安部誠司/荒木啓佑/奥山/寛/木暮真一郎/後藤晋彦
田中秀哉/西尾郁海/廣瀬孝輔/港/幸樹/山名孝幸/脇/卓史
彩花まり/池谷祐子/伊宮理恵/樺島麻美/久信田敦子
鈴木サアヤ/原/広実/松田未莉亜/安岡千夏/柳本奈都子
※出演を予定していた福永悠二は病気療養のため降板
■アマデ
白石ひまり/星駿成/若杉葉奈(トリプルキャスト)
演出・音楽・振付等
脚本/歌詞:ヒャエル・クンツェ
音楽/編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナル・プロダクション:ウィーン劇場協会
演出/訳詞:小池修一郎(宝塚歌劇団)
音楽監督:甲斐正人
振付:前田清実
歌唱指導:山口正義/やまぐちあきこ
美術:松井るみ
照明:笠原俊幸
衣裳:有村 淳(宝塚歌劇団)
ヘアメイク:富岡克之(スタジオAD)
音:響大坪正仁
映像:石田 肇
舞台監督:廣田 進
演出助手:小川美也子/末永陽一
指揮:宇賀神典子/渡邉晃司
オーケストラ:東宝ミュージック/ダット・ミュージック
稽古ピア:ノ國井雅美/石川花蓮
翻訳協力:萬代倫子
プロダクション・コーディネイター:小熊節子
制作:廣木由美/寺本奈央
プロデューサー:岡本義次/服部優希/江尻礼次朗
後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム東京
製作:東宝