『マチルダ』はかつて休暇で渡英した際に、どこかの劇場で上演されているのを知って、見に行こうと思ったのだが、結局スケジュールが合わなくて見に行かなかった作品。
よって、まったく前知識なし、先入観なし、の状態で見た。
プレビュー公演が終わった後の、本公演初日である2023/3/25(Sat)マチネの公演を見てきた。
このあと何回か見る予定だが、取り急ぎ本公演初日の記録を残すことにした。
なお、キャストは以下の通り
マチルダ:嘉村咲良
ミス・トランチブル校長:小野田龍之介
ミス・ハニー:咲妃みゆ
ミセス・ワームウッド:大塚千弘
ミスター・ワームウッド:田代万里生
ミセス・フェルプス:岡 まゆみ
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『マチルダ』
会場
東急シアターオーブ
観劇日
2023/3/25(Sat) マチネ
天才少女嘉村咲良!
どんな作品も一期一会なのだが、とくに未成年の子供が登場してくる作品では、一期一会をより深く意識する。
子供はすぐに大きくなる。
姿かたちや声も変わる。
だから、「いまこのとき」を見られるのはすごく大切な時間だと思うのだ。
今日のマチルダは、嘉村咲良。
瞳が澄んでいてとてもきれいな子。
歌がうまいのはもう「あたりまえ」なのであえて言及ないこととして、彼女のすごいところは、セリフを言っていないシーンでは顔の表情で、客席に背を向けているときはその佇まいで演技をしていたこと。
こういう子役を見ると、前世をあんまり信じていない私も「あー、この人は、きっと前世で俳優だったに違いない」と思いたくなる。
天才。
そもそもこの作品は、どうやら生まれつき才能をもったギフテッドの少女から見た大人の世界を描いた作品らしい。
無垢でありながら、その辺の大人より悟っている少女、それがマチルダ。
その相反する特性を余すところなく表現してくれた今日の嘉村咲良にブラボー!である。
子供たちは子役と成人俳優で混成
オリジナルがどうなのかはわからないのだが、この作品にはマチルダのほかに、学校の生徒役として「子供たち」が登場してくる。
この公演では、その子供たちは、未成年の子役と成人俳優で構成されていた。
ちなみに、本田大河や出口稚子は、数年前までは未成年だったのでそれほど意外なことでもないが、子供の役をやっていてもなんの違和感もなかった。
一方ですごく意外だったのが、原慎一郎(身長187cm、44歳)。
それなりに馴染んでいて、もしかしたらこんな図体のでかい子いるかもしれない、と思わされたのには驚いた。
そのあとの、カッコいいクールなマフィアの役への切り替えも見事。
それと『ミス・サイゴン』ではレザーボーイだった大久保徹哉も短パン姿でムッキムキのたくましい太ももをのぞかせていた。
こんなカオスな感じ、割と好き。
プリンシパルキャストも百花繚乱
田代万里生が期待通りの(?)ゲスいオッサンになっていて笑えた。
でもきっとこの公演が終わるころには、貴公子、紳士の田代万里生が恋しくなるだろうなと思わされた。
緑色の衣装と髪がとっても似合っていて素敵。
大塚千弘も予想通りだった。
個人的には、彼女の気の強いハチャメチャな役が好き。
子供を産んだとは思えないほどスタイルもよくて、ど派手な衣装も似合っていて素晴らしい。
小野田龍之介は、登場してきた瞬間に、相撲取りが出てきたのかと思った。(笑)
彼が意地の悪い役をやっているのを見るのは・・・・たぶん、はじめて。
あの歌唱力で威嚇したら、それはそれは圧迫感この上ない。
・・・でも、小野田トランチブル、どんなに意地の悪いことをしても、全然憎めないから不思議。
今回、不思議な存在感を放っていたのが咲妃みゆ。
もともと歌もうまいし演技力も高いのはもちろん知っていたのだけれど、ハニー役はドンピシャ!でハマっているわ、と感じた。
ブロンドの髪も、ピンクのカーディガンも、かかとのない靴も、とても似合っていた。
知らないうちに、魅力的なおばあちゃまになっていた岡まゆみ。
優しい愛情あふれるミセス・フェルプスだった。
私が子供のころは「まんがはじめて物語」のお姉さんだったんだよなぁ。。。
そして、未だ外苑前にベルコモンズがあって小川亜矢子先生がご存命の時は、「青山ダンシングスクエア」でバレエのレッスン生として時々お見かけしていた。
その岡まゆみが、気づいたらこんな素敵なおばあちゃまに!
その他雑感
冒頭に書いた通り、まったく前知識なく本公演初日を観劇した。
1幕の最初のほうは、これは児童虐待の話では?!こんなお話、倫理的にOUTじゃないの?!と思って観ていたのだが、ストーリーが進むにつれて、「なるほど、これはギフテッド少女から見えるデフォルメされたおバカな大人たちの幻想なのか」という風に思えてきた。
本を読むと馬鹿になるから本を読むなとか、体罰でコントロールするとか、実際そういうことをやってきた大人はたくさんいただろうけれど、この目覚めた少女から「もうそんな時代じゃないよね!」と啖呵を切られているように感じた。
まだ初日を迎えたばかり、この先、どのように変化していくかも楽しみである。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
マチルダ:嘉村咲良/熊野みのり/寺田美蘭/三上野乃花(クワトロキャスト)
ミス・トランチブル校長:大貫勇輔/小野田龍之介/木村達成(トリプルキャスト)
ミス・ハニー:咲妃みゆ/昆 夏美(Wキャスト)
ミセス・ワームウッド:霧矢大夢/大塚千弘(Wキャスト)
ミスター・ワームウッド:田代万里生/斎藤 司(トレンディエンジェル)(Wキャスト)
ミセス・フェルプス:岡 まゆみ/ 池田有希子(Wキャスト)
原 慎一郎
寺井竜哉*、仲本詩菜*、春口凌芽*、山花玲美*
石井亜早実、大久保徹哉、小島亜莉沙、斎藤准一郎、酒井 大、坂口杏奈、白山博基、髙原華乃、出口稚子、深沢萌華、本田大河、森 莉那、森内翔大、大場啓博
片岡蒼哉、後藤レイサ、堀 蒼寿、松浦歩夢 / 髙橋維束、髙橋 輝、廣門来輝、渡邉隼人
*スイング
演出・音楽・振付等
脚本:デニス・ケリー
音楽・歌詞:ティム・ミンチン
脚色・演出:マシュー・ウォーチャス
振付:ピーター・ダーリング
デザイン:ロブ・ハウウェル
オーケストレーション・追加音楽:クリストファー・ナイチンゲール
照明:ヒュー・ヴァンストーン
音響:サイモン・ベーカー
イリュージョン:ポール・キーヴ
日本公演スタッフ
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
演出補:西 祐子 藤倉 梓
振付補:前田清実
音楽監督補:竹内 聡
照明補:大島祐夫 岡崎 亘
音響補:佐藤日出夫
衣裳補:阿部朱美
ヘアメイク補:鎌田直樹
舞台監督:北條 孝 田中直明
プロダクション・マネージャー:田中孝昭
宣伝美術:服部浩臣
撮影(日本公演キャスト):HIRO KIMURA