漫画が原作で、高校生が主人公で、学園が主な舞台のミュージカル・・・
「わぁ、苦手なタイプの作品だわ」と思ったものの、ルックスがよくて歌が超絶にうまくて演技の幅も広いあの木村達成が出演するなら一見の価値はありそう、という理由でチケットを1枚だけ購入。
また、楽曲がフランク・ワイルドホーンだった、というのもチケット購入の動機の一つになった。
結論から言うと、若さキラキラでまぶしく、とても良質なミュージカルだった。
なお、今回は1回の観劇だったため、Wキャストの有馬公生役は木村達成、渡亮太役は寺西拓人で観劇した。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
四月は君の嘘
会場
日生劇場
観劇日
2022/5/21(Sat)ソワレ
学園ものは昔から苦手だが・・・これは良かった
私は、ドラマでも映画でも舞台でも、いわゆるリア充臭のする学園ものは昔から苦手なんである。
そもそも学校ってものがあまり好きではなかったからだ。
ただ、当時は「学校に行かない」と社会的に生きていくのが難しそうだったので、生存戦略として学校も行ったし卒業証書ももらったけれど、そもそも根が「ひきこもり体質」なのである。
若いころから、客電の落ちた暗い客席で、脳を異次元トリップさせることが何より好きだったことからも、自分の非リア充ぶりを再認識させられる。
だから、えー!わざわざ学園ものをミュージカルにしなくても、と思ってしまうのである。
・・・とはいえ、見終わった後の後味は非常に良好。
そして、ラブストーリーというよりは、純度の高い人間ドラマだった、という点が気に入った。
達成がいじけた天才ピアニストに!
木村達成は、本当に「振り幅」の大きい役者だと思う。
君主制崩壊寸前時代の皇太子から、女装のゲイ、道を踏み外した医学者・・・など、若いうちから、かなりいろんな役をこなしている。
1993年12月生まれなので、「四月は君の嘘」上演時では28歳である。
かなり若いので、これから先もかなり長く期待ができる役者だろう。
その達成君が、眼鏡をかけたいじけた高校生を演じた。
すらっとした身体を、こころなしか少し前かがみに曲げて、卑屈にふるまうのだが、いやいやピアノの天才だし、そもそも長身のイケメンだし、っていうことで、
爽やかに卑屈になっている少年
だった。
天才ながら母親の愛情に飢えており、心を閉ざしてしまっている、という細かい表現力にも感服、である。
【STAGE/MUSICAL】
本日開幕です!
ミュージカル『四月は君の嘘』
ゲネプロ レポ#ミュージカル #四月は君の嘘#小関裕太 #木村達成 #生田絵梨花
#唯月ふうか #水田航生 #寺西拓人https://t.co/vjfBsv2yYU pic.twitter.com/ktygbOk61n— Astage-アステージ- (@astage_ent) May 7, 2022
その他メインキャスト
生田絵梨花はいわずもがな、とにかく美しく、歌もここ数年でかなり上達している。
一人っ子らしい勝ち気でわがままな少女、というキャラクターによくはまっていた。
有馬公生の幼馴染椿ちゃん役の唯月ふうかは、よく伸びる声と安定した歌唱力で、こちらも力を抜いて鑑賞できる良い女優さん。
ちなみに、唯月ふうかも生田絵梨花も、レ・ミゼラブルのエポニーヌ役で競演しており、マリウスに片思いして振られていたっけ。
さて、そのふうかちゃん、「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ、「屋根の上のバイオリン弾き」の三女チャヴァ、「生きる」のトヨでみているが、どれを見ても、ふうかちゃんはふうかちゃん、という感じで同じに見えてしまうのは、なぜなんだろう?
なんか違う面も見てみたいなぁ、と思うのである。
どこかのタイミングで、妖艶なファムファタールでも演じてほしい。
モテモテのリア充の権化のようなサッカー少年を寺西拓人。
学内の人気者としてのナンバーなどは、非リア充の引きこもりの私からみたら、まぶしすぎて直視ができなかった!(笑)
そして、ヒロインかをりの両親役に、未来優希と原 慎一郎。
もっと歌うシーンがあるのかと思いきや、それほどなくてちょっと残念。
なんか、ちょっともったいないなぁ、と。
しかし、リアルにこういうお母さんとお父さんいるよねー、という雰囲気が出ていてとても微笑ましかった。
その他雑感
私は、主に東京でミュージカルを30年以上見続けているが、やはり観客は女性が多い。
以前に比べると男女比は半々ぐらいになりつつあるようにも思えるが、それでもまだ感覚として女性の観客が多い。
それは幕間のトイレの時に最も実感できる。
ところが、生田絵梨花が主演となると、とたんに男性の観客が増える、というのは実感としてある。
今回も、両隣がアラサーぐらいの男性で、二人とも生田絵梨花をオペラグラスで熱心に追っている様子だったので、すぐに彼女のファンだと分かった。
同じことは、『レ・ミゼラブル』の時にも感じた。
生田絵梨花がエポニーヌを演じた回は、客席をざっと見渡すと、客層が若干違うのである。
また、いつもなら幕間に列を作らない帝劇の男性トイレに列ができたのもこの目で見た。
生田絵梨花が、異なる層の客をミュージカルの観客として引き込む力はおそるべし。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
有馬公生(Wキャスト):小関裕太、木村達成
宮園かをり:生田絵梨花
澤部 椿:唯月ふうか
渡 亮太(Wキャスト):水田航生 寺西拓人
かをりの母:未来優希
かをりの父:原 慎一郎
審査員:ひのあらた
審査員:三木麻衣子
井川絵見:元榮菜摘
相座武士:ユーリック武蔵
三池俊也:中村 翼
飯塚萌木 石井千賀 片岡芽衣 柴田実奈 杉浦奎介 須田拓未 高瀬雄史 千歳ふみ
角田萌夏 露詰茉悠 中野太一 松村桜李 山﨑感音 吉井乃歌 山野靖博 吉岡花絵
演出・音楽・振付等
原作:新川直司(講談社「月刊少年マガジン」)
脚本:坂口理子
作詞・作曲:フランク・ワイルドホーン
作詞:トレイシー・ミラー/カーリー・ロビン・グリーン
編曲:ジェイソン・ハウランド
訳詞・演出:上田一豪
音楽監督・指揮:塩田明弘
音楽監督補:小澤時史
振付:藤林美沙
最終更新日 2022年5月22日