2024年上演

【2024年】既視感と新しさと『Death takes a holiday』

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ノーマークの作品だったが、ある方からチケットをお譲りいただいたので見ることにした。

前知識なしで観劇。

観劇後にしらべてみたところ、作品としては、原作はとても古く、1924年のイタリアだそう。

映画になったり舞台になったりした経歴は以下の通り。

すべてネットで調べたものを列記した。

【1924年】イタリアの劇作家、アルバート・カゼッラによる戯曲『La morte in vacanza』
※イタリア語の原作名は、日本語に直すと「バケーション中の死神」ってところだろうか?

【1929年】ウォルター・フェリスが『Death Takes A Holiday』として英語で戯曲化。

【1934年】にフレドリック・マーチ主演で映画化、タイトルは同じく『Death Takes A Holiday』(邦題:明日なき抱擁)

【1998年】ブラッド・ピット主演で『ミート・ジョー・ブラック』(邦題:ジョー・ブラックをよろしく)としてリメイク

【2011年6~9月】オフ・ブロードウェイ、ミュージカル版初演

【2017年1~3月】オフ・ウエストエンドのチャリングクロス劇場で上演

【2023年】日本にて宝塚歌劇団にて上演

なお、Wキャストのグラツィア役は美園さくらで鑑賞

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『Death takes a holiday』

会場

東急シアターオーブ

観劇日

2024/9/29(Sun)マチネ ←美園さくらの初日(宝塚退団後初舞台の初日でもある)

既視感があったり新しさがあったり

冒頭に書いた通り、作品についての前知識は完全にゼロで観劇した。

死神が、事故にあった娘をあの世に連れて行かず、この世に残す、というところからストーリーは始まる。

「あら、エリザベートみたい!」と思った舞台愛好家は少なくないだろう。

でも、こちらの作品、原作は1924年、つまりミュージカル『エリザベート』よりずっと以前に作られたストーリーだ。

死神がこの世の娘を愛し、最後はあの世に連れていく、というところは、『エリザベート』とまったく同じ!と思ったのだが、テーマやメッセージ、それとテイストが全然異なる。

ちなみにミュージカル『エリザベート』ではシシィは最初はトート閣下を拒絶しているが、Death takes a holidayではヒロインのグラツィアは、最初から死神(サーキ)にぞっこんである点も全然違う。

また、戯曲や映画ではどうなのかは知らないが、ミュージカル作品としては、軽いテイストの楽しい作品に仕上がっている印象。

特に、アリス(皆本麻帆)を中心としたタップダンスの群舞のシーンは楽しい!のひとことに尽きる。

また、屋敷の執事?のフィデレは、死神の秘密を知って、日に日に憔悴していく様子が、目の下に大げさに入れた青のアイシャドウと、ボサボサのヘアスタイリングで表現されるが、非常にコミカルな演出である。

このフィデレは宮下雄也が演じたが、私はたぶん初見だと思う。

調べたところ吉本興業所属なので、コメディアンか?とも思ったのだが、経歴を見るとコメディアンではなくて俳優である。

こうした楽しいダンスナンバーや、コミカルな要素をたくさん含んだ演出のテイストは、『ダンスオブヴァンパイア』にも通じるものがあり、そういった意味では既視感もたくさんあった作品。

キャストのことなど

ヒロインの婚約者コラードは、内藤大希。

ふっくらしていたので最初誰だかわからなかった。

彼はわがままでちょっぴり冴えないおぼっちゃま。

彼は、そういうトホホな感じを、軽い感じで表現するのが本当にうまい。

美園さくらは、宝塚娘役トップスターをやめたすぐ後に大学院に入った異色の人、というネタで知っていたのだけれど、天は2物も3物も人に与えるのか!

登場してきた瞬間は、「可愛い!」という印象。

どこかクラシカルな美女で、なんか懐かしい感じがした。

そうだ、こだま愛!だ。

どことなくこだま愛に似ているから懐かしく感じたのかも。
(ちなみに、こだま愛も美園さくらも、宝塚月組トップ娘役、という共通点もあり)

声もリリカルで可愛らしい感じの声。

1幕の前半、ほんの数小節だけ、プイプイと音を外したが、それ以外は気になるところもなく、歌も非常にいい!という感じ。

小瀧望は、『ザ・ビューティフル・ゲーム』(2023年2月)に見たとき以来、1年半ぶり。

歌唱力が1.5倍ぐらいに上がっていた。

『ザ・ビューティフル・ゲーム』を見たときは、音域が広くないような印象を受けていたのだが、今回はそれは全く感じず!

また、ロシアの王子様のふりをするために、王子様衣装を着ていたのだが、その着こなしの見事なこと!

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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

死神 / サーキ:小瀧望

グラツィア:山下リオ / 美園さくら(Wキャスト)
エリック:東啓介
コラード : 内藤大希
アリス :皆本麻帆
デイジー :斎藤瑠希

ヴィットリオ : 宮川浩
ステファニー :月影瞳
ダリオ : 田山涼成
エヴァンジェリーナ :木野花

フィデレ:宮下雄也
ロレンツォ / 飛行教官 :西郷豊

アンサンブル
伊藤彩夏、井上弥子、岡施孜、蟹々々エミ、上條駿、熊澤沙穂、篠崎未伶雅
鈴木亜里紗、高瀬育海、長澤仙明、丹羽麻由美、武藤寛、安井聡、吉井乃歌 (五十音順)
スウィング
木村遊、村田実紗

演出・音楽・振付等

作詞・作曲:Maury Yeston
潤色・演出:生田大和(宝塚歌劇団)
音楽監督・編曲:太田 健(宝塚歌劇団)
美術:伊藤雅子
衣裳:生澤美子
照明:笠原俊幸
音響:大坪正仁
振付:三井 聡/桜木涼介
ヘアメイク:岡田智江(スタジオAD)
映像:石田 肇
指揮:福田光太郎
音楽監督補・稽古ピアノ:松田眞樹
稽古ピアノ:森本夏生
歌唱指導:高津敦子
オーケストラコーディネート:新音楽協会
美術助手:ベク・チェユン
振付助手:井上弥子 井上美都
演出助手:長町多寿子
舞台監督:中西輝彦
宣伝協力:キョードーメディアス

主催 梅田芸術劇場/ 東京グローブ座
企画・制作:梅田芸術劇場
協力:宝塚歌劇団

最終更新日 2024年9月29日

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