何度も再演されているらしいこの作品、なぜもっと早く観ていなかったんだろう。
今回、初めて観劇した。
優しくてあったかい、でも、深く考えさせられる作品。
今回は、「白猫チーム」「黒猫チーム」の2組のキャストがあったが、私は「白猫チーム」(佐藤隆紀、平川めぐみ、屋比久知奈)で鑑賞。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
ミュージカル『Play a life』
会場
博品館劇場
観劇日
2024/2/8(Thr)ソワレ
舞台を見て涙を流すことはまれだが・・・
舞台を見て涙を流すことはまれである私だが、この作品では、なぜかじわーっとやられてしまった。
客電の落ちた客席で、時に登場人物に感情移入したり、舞台の情景に入り込んでしまうことはあるけれど、舞台は「創作された世界」だ、と冷静に見ている自分もいるので、あまり感情を揺さぶられてしまう、ということは多くない。
しかし、この作品では、とりたてて大きな事件は起きないし、派手なパフォーマンスもないのにもかかわらず、じわっと感情の一辺が揺さぶられるということが起きた。
3人の演者によるハーモニーの美しさのせいだろうか?
一度しか鑑賞していないのに、「いまをいきよーう♪」というあのメロディーは、終演後も脳内でリプレイすることができる。
なるほど!なストーリー展開
この作品の中では、「いまをいきる」という映画が語られている。主人公とその恋人(のちに妻になる)が、大好きな映画として、作中で語られるのだ。
ずいぶん古い映画ではないだろうか?
私も、大学生の時に、レンタルビデオやでセルビデオを借りてみたような記憶があるが、うっすらとしか覚えてない。
なんか熱い感じの学校の先生が主人公の物語?といった程度の記憶だ。
そう、こんな古い映画について語られていたので、この作品の作者は年配者だと思ったのだが、よく確認すると、作・演出は上田一豪。
上田一豪は1984年生まれ、「いまをいきる(原題: Dead Poets Society)」は1989年のアメリカ映画だから、この映画が公開された時は、彼はまだ5歳だったことになる。
てっきり年配の脚本家が書いた作品だと思っていたのに、案外若い人がこの作品を書いていた、という点も意外だった。
私は、前知識完全ゼロで見ていたので、ストーリー後半になって、ずっと舞台上に登場し続けていた「男性臨時教師」の妻が、実は故人で、舞台上にいたのは、彼の空想の産物だった、というネタあかしがされるまで、彼の妻は生きているものだとばかり思っていた。
ストーリー中、彼の妻は、元教師であったにもかかわらず休職中でずっと家にいるとか、彼の用意した食事に全く手をつけない、などの行為をみせるので、メンタルを病んでひきこもりになったのか?と思っていた。
しかし、それにしては、ずいぶん満ち足りた優しいたたずまいで始終いるのはなぜなんだ?と思っていた。
幸せなひきこもりか?
まあ、そういうのもあるだろうな、でも食事はちゃんととらないとダメだよ・・・などと思っていた。
しかし、後半で、彼女は、彼の空想だということがわかるのである。
それには気づかなかった。
屋比久知奈演じる教育実習生が、「その方、この世にはいませんよね?」と震えながら男性臨時教師に伝えるあの演技が、とても素晴らしかった。
前半、コメディな歌を披露していたのとすごいギャップで、そこもよかった。
キャスト
「佐藤隆紀の歌が聴けるなら」「屋比久知奈も久しぶりに聴けるなら」と思ってチケットをgetした。
今回初見なのは、平川めぐみ。
彼女は、以前は教育実習生役(今回屋比久知奈が演じた)もやっていたそうだ。
主演者がたったの3人で、リリカルなメロディーを紡ぐ、ハートフルな作品。
パンチのきいたドラマティックな歌唱はないけれど、その代わりにどこまでも優しい感じがした。
特に3人がハモるシーンが一番良かった。
もう一組の「黒猫チーム」も時間が合うなら、見たかった。
相葉裕樹だったらもうちょっと熱い感じの先生になりそう、松原凜子の菩薩っぽい妻もみてみたかった、豊原江理佳の紺色スーツ姿ってどんな感じ?・・・と、想像は尽きなかった。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
<白猫チーム>
佐藤隆紀(LE VELVETS)
平川めぐみ
屋比久知奈
<黒猫チーム>
相葉裕樹
松原凜子
豊原江理佳
<演奏>
Pf 戸谷風太
Vc 石貝梨華
演出・音楽・振付等
作・演出 :上田一豪
作曲 :小澤時史
最終更新日 2024年2月9日