ホリプロと英国の気鋭クリエイターがタッグを組んで生み出した、新作オリジナルミュージカル。
しかも、日本での上演が世界初演という点も、この作品の面白いところだ。
しかし、「和製ミュージカル」と呼んでいいのかは、少し迷う。
ホリプロが企画制作を手がけている一方で、音楽・歌詞や脚本には英国クリエイターが関わっているからだ。
だからこそ、海外作品の輸入上演でも、完全な和製作品でもない、どこか独特な立ち位置のミュージカルと言えるのかもしれない。
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『ニコラ・テスラ ~エジソンが恐れた孤高の天才~』
会場
紀伊國屋ホール
観劇日
2026/9/19(Sat)マチネ
2026/9/28(Mon)ソワレ
小ホールでの贅沢な時間
正直に言えば、科学者を題材にしたドラマそのものには、そこまで強い興味があるわけではない。
『マリー・キュリー』もそうだったが、正直あんまり興味がないのだ。
それでも今回は、出演者を見た瞬間に行くしかないと思った。
海宝直人、濱田めぐみ、成河、昆 夏美という、超がいくつあっても足りないほどの実力派がそろっている。
しかも会場は紀伊國屋ホールである。
小さなホールで、かぶりつきに近い距離でこの面々を観られるなら、題材への興味の濃淡など関係ない。
海宝直人の歌を浴びる満足感
期待していたものは、きちんと期待通りに返ってきた。
海宝直人の歌を、あの距離で浴びることができた。
それだけでまず満足である。
ニコラ・テスラという人物の孤独や執着、ひらめきの鋭さが、歌声の伸びや言葉の置き方に乗って伝わってくる。
単に主役として中心に立つだけではなく、思考の速度や不器用さまで舞台上に立ち上げていたように感じた。
濱田めぐみの静かな支え方
濱田めぐみはスター級の存在でありながら、どこか謙虚さがいつも見える俳優である。
今回もその印象は変わらなかった。強く前に出るのではなく、ニコラを立て、すっと影のように支えている。
そのみのこなしが非常に印象的だった。
舞台上にいるだけで場を引き締める力がありながら、作品全体のバランスを崩さない。
その塩梅こそが、濱田めぐみのすごさである。
成河と昆 夏美に感じた共通点
成河と昆 夏美には、どこかしら共通点があるように感じた。
二人とも、芝居の瞬発力と身体の反応が非常に鋭い。
台詞や歌をただ届けるのではなく、場面の空気を一瞬で切り替える力がある。
また、複数の役を演じるときの切り替え方にも迷いがない。
少しの声色、姿勢、間の取り方で人物を変え、観客に「今は別の人間である」と納得させる。
説明ではなく、身体とリズムで見せる俳優であるところが、二人に共通しているのだと思う。
期待通り、どちらもキレの良い演技だった。
小さなホールだからこそ、その反応の速さや細かな表情の変化がよく見えたのも大きい。
紀伊國屋ホールでミュージカルを観る驚き
2026年9月19日土曜ソワレは、ホリプロ貸し切り公演だった。
そのため終演後には、出演者4名によるトークショーも付いていた。
その場でも、紀伊國屋ホールでミュージカルを上演することは試験的な試みであると語られていた。
確かに、紀伊國屋ホールにはストレートプレイで来たことはある。
しかし、ここでミュージカルをやるとは思っていなかったので、最初に発表されたときはずいぶん驚いたものだ。
結果として、その距離の近さは本作の大きな魅力になっていた。歌の迫力、芝居の細部、俳優同士の呼吸が、客席まで直に届く。
大劇場では味わいにくい濃度で、このキャストを体感できたことはかなり贅沢だった。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
海宝直人(トラック1):ニコラ・テスラ
成河(トラック3):父/ペッシュル教授/チャールズ・バチェラー/ハロルド・ブラウン/チャールズ・フレッチャー・ペック ほか
濱田めぐみ(トラック2):キャサリン/母/ウェスティングハウス ほか
昆 夏美(トラック4):ナース/ダネ/エジソン/アルバート・S・ブラウン ほか
演出・音楽・振付等
音楽・歌詞:ニック・ブッチャー
脚本:ロジャー・ディッパー
演出・翻訳:下平慶祐
訳詞:福田響志
音楽監督:村井一帆
美術:山本貴愛
照明:吉本有輝子
音響:山本浩一
振付:塩野拓矢(梅棒)
衣裳:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
歌唱指導:やまぐちあきこ
稽古ピアノ:石川花蓮/栗山 梢(treetop)/MiyaB(treetop)/豊住 舞(treetop)
演出助手:福原麻衣/朝倉エリ/坪井彰宏
舞台監督:加藤 高
主催・企画制作:ホリプロ
