2024年上演

【2024年】あしたはどっちだ?『テラヤマキャバレー』

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デヴィット・ルヴォーがアングラを日生劇場へ!

イギリス人のデヴィット・ルヴォーが、故人である日本人演出家、寺山修司の言葉やその生涯から着想を得てつくった、彼の死の前日を舞台にした物語。

その経緯からしてなんじゃそりゃ、である。

その情報だけでも、好奇心むくむくさせられる作品であった。

今回は2回観劇。

うち1回は、舌ちょんぎり役の花王おさむの休演により、同役をスウィングの木村風太で鑑賞。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

音楽劇『テラヤマキャバレー』

会場

日生劇場

観劇日

2024/2/11(Sun)マチネ
2024/2/24(Sat)ソワレ

香取慎吾はこんなにいい役者だったのか

香取慎吾といえば、日本人なら知らない人はほとんどいない有名人だろう。

私にとっても顔と名前は一致するし、「ああ、知ってる」と思っていた。

しかし、よくよく考えてみたら、私は、彼の出演するテレビドラマや映画を、みたことがなかった!

木村拓哉や稲垣吾郎が出演するドラマならみたことがあったのに。。。

だから、今回彼が寺山修司役をやっているのをみて、「あれ?香取慎吾って、こんないい役者だったんだ」と今さら気づく羽目に。

奇しくも、現在の彼は、寺山修司が亡くなった年齢である47歳と、同じ年齢。

まず、すごく華がある。

センターに来る人、というのは、おそらく最初からセンターに立つように生まれてきているんだろうな、と思わされた。

また、しっちゃかめっちゃかな舞台、空気間の異なる役者たち、それでいてそれらをスッとまとめる力量は素晴らしかった。

偶然

2024/2/24(Sat)に、青森を旅している家族に、「香取慎吾主演の舞台を見たよ」とメッセージを送ったら、「津軽・嘉瀬駅のキャンバス列車を見たよ」という連絡がきた。

この列車と香取慎吾に何の関係があるのか?と思って調べたら、この車両は1997年に地元の小学生たちと一緒に絵を描いた車両らしい。2000年に運行を終え、金木駅で数年展示した後、嘉瀬駅に展示するようになったのだとか。

いろんな言葉や世界観

私は、寺山作品はいくつか見たことはあるけれど、それほど好きなわけでもないし、詳しいわけでもない。

ただ、彼独特の空気感というものは、いくつかの戯曲を通じて何となく感じ取っているつもりで、今回の舞台も、それと違わなかったと思う。

イギリス人のルヴォーがその空気感を再現した、というのが、まあ驚きでもあるのだが。

今回の脚本の構成も、ざっくりいうと、1983年5月3日、つまり寺山修司の亡くなる前日から始まる。

しかも、寺山修司が、トート閣下・・・じゃなかった「死」と出会い、その「死」に数時間の猶予をもらって、この世でやり残した仕事をしてから、一緒にあの世に旅立つ、という話。

この「死」を演じた凪七瑠海だけ、ほかのアングラテイストな役者の中で、思いっきり宝塚歌劇テイストで(というか本人も現役の宝塚歌劇団員なんだが)、プカっと浮いているのだが、それもそのはず、この人は「死」なのだから。

他の役者と同じじゃ困るわけである。

さて、舞台進行中のセリフの中で、「え?」「あれ?」と響いたものがあったのだが、手元にメモでも持たない限り、すぐに忘れてしまってあまり覚えていないのだが、それでも、覚えているものとしては、「いま人間がこうしてみているシーンのほうが夢なんじゃないの?」といった内容のセリフがある。

これはミッキー役の福田えりのセリフだったかな?(うろおぼえ)

これね、そうかもしれない、と、私も時々思っていること。

印象に残った役者たち

平間壮一の身体能力がここまで高いのは、実は知らなかった。

それと、三島由紀夫のあの衣装とハチマキが、あそこまで似合うとは・・・絶句である。

逆に、成河は、もう予想通りというか、アングラにも何の違和感もなくハマる。二幕の後半で歌った、あのフォークソングみたいな歌(フォークソングでいいんだよね?)、あれがとっても良かった。

凪七瑠海と同様に浮いた存在といえば、伊礼彼方もそうだった。

蚊なのにセクシーとか、なんなの、もう意味わからなくて素敵。

ここまで素敵な蚊を演じられる人は、彼以外にはいないだろう。

ところで一つだけ気になった蚊のセリフ、これからも血を吸い続けるのは「人と人を混ぜるため」みたいなことを言っていた。これどういうこと?

人と人は混ざり合う必要がある?

俺がお前で、お前が俺的な?

それとも世界は一つ、的な意味?

今回、横山賀三が初見だった。

初回の前半まで、実は「女の子」だと思ってみていた。

途中から「ん?男?」と思い始め、幕間でキャスト表を改めてみて、男性っぽい名前だから男性か!と気づいた次第。

パワーがあるし、華があるし、それと歌がうまい。

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運営者情報

姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

香取慎吾:寺山修司

―寺山修司の劇団員―

成河:白粥
伊礼彼方:蚊
村川絵梨:アパート
平間壮一:暴言
花王おさむ:舌ちょんぎり
福田えり:ミッキー
横山賀三:青肺
凪七瑠海(宝塚歌劇団):死

浅野彰一:劇団員:犬尻
小田龍哉:劇団員
葛たか喜代:劇団員
川原田樹:劇団員:ノックノック
日下七海:劇団員
小林風花:劇団員
近藤彩香:劇団員
的場祐太:劇団員:鶏
水口早香:劇団員

スイング
木村風太/中野風音

<MUSICIANS>
Cond/Keyboard:太田 裕子
Guitar/Daxophone:内橋 和久
Flute/EWI:坂上 領
Trombone/Keyboard:湯浅 佳代子
Violin:渡辺 剛
Bass:西嶋 徹
Drums:堀越 彰
Percussion:スティーヴ エトウ

演出・音楽・振付等

脚本:池田 亮
演出:デヴィッド・ルヴォー
美術:杉山 至
照明:吉枝康幸
音響:高橋 巖
衣裳:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
振付:野上絹代
音楽監督:江草啓太
映像:須藤崇規
歌唱指導:市川祐子
演出助手:加藤由紀子
舞台監督:二瓶剛雄、廣瀬次郎
企画・制作・主催:梅田芸術劇場
宣伝美術:クリエイティブディレクター/コピーライター:田辺俊彦
アートディレクター :吉田ユニ
カメラマン :奥口 睦
美術:AKI
スタイリスト:細見佳代
ヘアメイク:石崎達也
プロデューサー:稲垣 護、根津裕典

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