原作はこうの史代による漫画、アニメ映画と実写映画にもなっているらしい。
ミュージカル作品としては今回が初演。
脚本・演出は上田一豪、そして、楽曲は10年ぶりに米国から凱旋帰国して日本で仕事をするアンジェラ・アキによるもの。
なお、2024年5月は諸般の事情により観劇回数少なめ。
Wキャストについては全部見たかったのだが、叶わず。
浦野すず役は昆夏美で鑑賞(大原櫻子見逃し)、北條周作役は海宝直人/村井良大コンプリート、白木リン役は平野 綾で鑑賞(桜井玲香見逃し)、水原 哲役は小野塚勇人/小林 唯コンプリート。
子役は、すずの幼少期役は桑原広佳/嶋瀬 晴で鑑賞(澤田杏菜見逃し)、黒村晴美役は
大村つばき/増田梨沙で鑑賞(鞆 琉那見逃し)。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『この世界の片隅に』
会場
日生劇場
観劇日
2024/5/11(Sat)ソワレ
2024/5/28(Tue)マチネ
楽曲はアンジェラ・アキ
私は、あの有名なヒット曲「手紙」以外にアンジェラ・アキを知っているわけではない。
ただ、「手紙」は名曲だと記憶していた。
確かにしばらく名前を聞いていなかったような気がするが、2014年から米国で勉強していたのは全く知らなかった。
今回は、ストーリーや舞台美術、出演者たちのパフォーマンスよりも、まず最初に、楽曲が印象に残った。
たった2回しか観劇していないのだが、テーマ曲のサビのところは口ずさめるくらいだ。
そもそも原作を全く知らない状態で見たので、どんな話か知らなかったのだが、何もかもを優しいフィルターを通して見ているような、そんな世界観だ。
楽曲にも、清涼さと優しさが垣間見え、なぜだかホロっと涙ぐみたくなるような、そんな感じだった。
ちなみに、「とんとんとんからりんと隣組」がミュージカルナンバーになっていたのには驚いた。
調べたところ、アニメ映画作品のほうにも、この曲をアレンジしたものが使われているということだった。
私たちの世代にとっては、「ど、ど、ドリフの大爆笑」なんだけれどね。
若い人は絶対に知らないはず。(笑)
もんぺミュージカルはいかに?!
終戦前の呉が舞台で、登場人物は「市井の人」だ。
当初、作品のポスターを見ても、「うーん、もんぺミュージカルってどんな風になるんだろう?」と全く想像がつかなかった。
セリフには方言は入っていたが、ミュージカルナンバーにはさすがに方言は入っていなかったと思う。(たぶん)
登場人物も、「普通の人」しか出てこないので、そこには壮大なドラマはない。
その代わりに、市井の何でもない人の日常だからこそ、共感する部分の多い作品だった。
役者たちのことなど
昆 夏美は相変わらず素晴らしかった。
浦野すず役は「背が低い」という設定になるので、演じられる女優は限られてしまうが、2024年初演において、昆 夏美は絶対に外せなかった、というのはうなづける話。
Wキャストの大原櫻子の評判も非常に良かったようで、こちらは見れなかったことが悔やまれる。
北條周作は、これは非常に難しい役だと思う。
なぜならば、「市井の人」でかつ無口でおとなしい男性という設定なので、たたずまいだけで演技をしなければならないからだ。
海宝直人と村井良大の両方で見て、どちらもよかったのだが、この役については、華やかな容姿の海宝直人にどうしても軍配が上がってしまう。
一方、村井良大は目鼻立ちが控えめで上品なので、ほかのアンサンブルにまぎれて、時々見失ってしまった。
白木リン役の平野 綾がはんなりとした色気で美しかった。
桜井玲香もさぞ美しかったことだろう。
リンのセリフで、「女の子のほうが高く売れるしね」というセリフがあった。
原作の白木リンがどうなのかはわからないが、売られた娘という自身の境遇を、さほど悲壮のとらえていなそうな雰囲気と、ほんの一瞬だけ垣間見える切なさみたいなもの、そういう表現において、平野 綾は素晴らしかった。
今回見ていて一番腹落ちしたのが、黒村径子役の音月 桂。
あのキュートなロミオ(2011年宝塚歌劇団雪組公演「ロミオとジュリエット」)が、キツい小姑に!
ソロの歌唱パートも、正直ヒロインより聴かせる部分が多く感じられ、とても魅力的なキャラクターだった。
1点だけ、演出の点でとても気になったこと。
周作のお母さん役が伽藍 琳だった。
伽藍 琳はベテランの、優れた俳優であることは知っている。
でも、どう見ても若すぎるので、周作の「お姉さん」にしかみえず、また径子役の音月圭と並んでも姉妹にしか見えない。
祝言のシーンでは、腰を悪くしてなんとか・・・というセリフが出てくるが、立ち姿もスッとしていて美しいし、うーん、この演出はどうにかならなかったんだろうか?
2回観劇したが、正直、客席で少し混乱した。
まだ、(伽藍 琳より年の若い)飯野めぐみのほうが、老けメイクが成功しているので、周作の母に見えたのではないだろうか?
キャストボード
各回のキャストボード
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
浦野すず(Wキャスト):昆 夏美/大原櫻子
北條周作(Wキャスト):海宝直人/村井良大
白木リン(Wキャスト):平野 綾/桜井玲香
水原 哲(Wキャスト):小野塚勇人/小林 唯
浦野すみ:小向なる
黒村径子:音月 桂
白木美貴子、川口竜也、加藤潤一
飯野めぐみ、家塚敦子、伽藍 琳、小林遼介、小林諒音、鈴木結加里、高瀬雄史、丹宗立峰、中山 昇、般若愛実、東 倫太朗、舩山智香子、古川隼大、麦嶋真帆
すずの幼少期(トリプルキャスト)
桑原広佳/澤田杏菜/嶋瀬 晴
黒村晴美(トリプルキャスト)
大村つばき/鞆 琉那/増田梨沙
演出・音楽・振付等
原作:こうの史代『この世界の片隅に』
(ゼノンコミックス/コアミックス)
音楽:アンジェラ・アキ
脚本・演出:上田一豪
編曲・音楽監督:河内 肇
音楽監督・キーボードコンダクター:桑原まこ
振付:原田 薫/スズキ拓朗
歌唱指導:Chibi
美術:二村周作
照明:小川 修
音響:高橋秀雄
映像:上田大樹
衣裳:中原幸子
ヘアメイク:宮内宏明
キーボードコンダクター:長濱 司
稽古ピアノ:國井雅美/中條純子
オーケストラ:東宝ミュージック/新音楽協会
舞台監督:菅田幸夫/佐藤 豪
演出助手:石川和音
振付助手:小林らら
歌唱指導助手:黒崎ジュンコ
方言指導:新谷真弓
制作:室橋 鮎
制作助手:高橋優里子/大川未希子
企画協力:遠藤 学
プロデューサー:鈴木隆介/佐々木将之
宣伝フォトグラファー:坂田 貴広
宣伝アートディレクション:菅沼結美
宣伝映像クリエイター:銭 龍
製作:東宝