2024年上演

【2024年】優しい狂気『ファンレター』

https://lasfloresrojas.com

この作品は、2016年に韓国にて初演。

その後、韓国内で何度も上演され、中国では14都市で上演。

今回2024年が、日本版初演となる。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『ファンレター』

会場

シアタークリエ

観劇日

2024/9/17(Tue)ソワレ
2024/9/21(Sat)ソワレ

静かに優しく狂っている世界

この作品の印象を簡単に述べるなら・・・・

静かに優しく狂っている世界

だ。

ちなみに、日本初演の当作品、いつもどおり前知識ゼロで観劇した。

ほのぼのとした中にも知的な雰囲気の漂うポスターから、まあ、インテリが登場してくるストーリーなんだろう、ぐらいにしか思っていなかった。

ほのぼのとした印象のポスター

実際に登場してきたのは、文学に携わる人々。

そう、インテリ。

ただ、ほのぼのとした情景はそこには広がってなかった。

あるのは、優しい狂気。

7人のキャストのうち紅一点はヒカル(木下晴香)。

しかし、なんとこのヒカルはセフン(海宝直人)が生み出したファンタジーというか、セフンの分身?のような存在なのだ。

今回7名のキャスト、全部が全部、個性が際立っていて素晴らしかったのだが、個人的に、特に素晴らしいと思ったのが、ヒカルを演じた木下晴香。

あどけない少女から、狂気の女王にまで変貌を遂げるその様に、釘付けになってしまった。

ヒカルというキャラクターも、玉虫色で不思議かつ魅惑的だが、それを演じる木下晴香もすごすぎる。

ヘジンの仕事場(?)のシーンで、ヒカルが文机に乗ってヘジンに「命をかけて作品を仕上げろ!」と迫るシーンの歌唱は圧巻。

全体を通して、ミュージカルナンバー後の拍手の間がとりにくい構成だったが、ヒカルのこのナンバーの時だけは、我先に!と拍手をしてしまったぐらいだ。

ヘジンの浦井健治にもちょっとびっくり。

つい1年半前までは、キラッキラのアーサー王とかを演じていた浦井健治が、瀕死のヨボヨボ中年男性に!

また、海宝直人が、「愛い奴」と先輩から可愛がられる書生。

海宝直人×木下晴香、というコンビも、見ている側が安心できて、とっても良いキャスティング。

作品の時代背景など

1930年代の京城(現在のソウル)が舞台、ということで、時は日本の統治下だったのだとか。

お恥ずかしながら、そんな近代史、知らなかった。

ちょっとググってみると、「1910年の韓国併合から1945年の日本敗戦までの35年間、日本は朝鮮半島を植民地支配した。」という記事も見つかった。

この物語に登場する人たちは、みな文学者または文学に関係した人たち。

そして、朝鮮語(あえて「韓国語」ではなく「朝鮮語」)をとても大切に誇りに思っている。

ストーリーの中では、朝鮮語による新聞や雑誌が取り締まられ、言論が統制されていく、といったような描写もあった。

実際に、ググってみると、そうした記事も見つかった。

そうなんだ。

日本が韓国を統治していた、というのは、うっすら知っていても、あらためて調べて初めて「そうか!」と腑に落ちてきた。

この物語を、日本版として日本人キャストが日本語で演じる意味は、なんだろうなぁ、と思った。

答えは出ていないが、そうした考えるきっかけになった。

おまけ

2024年9月某日、とうとう迷っていたハングル語の勉強を始めた。

迷っているぐらいなら始めてしまえ!と始めてしまったのだ。

続けられるかどうかはわからない。

ハングル語は、私にとっては「第3外国語」となる。

はたして、本国で字幕なしのミュージカルが堪能できるまでになるか?!

私が書いています
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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

チョン・セフン:海宝直人
ヒカル:木下晴香
イ・ユン:木内健人
イ・テジュン:斎藤准一郎
キム・スナム:常川藍里
キム・ファンテ:畑中竜也
キム・ヘジン:浦井健治

演出・音楽・振付等

翻訳:⽊村典⼦
訳詞:⾼橋亜⼦
演出:栗⼭⺠也
⾳楽監督:⽵内 聡
歌唱指導:やまぐちあきこ/⼭川⾼⾵
振付:新海絵理⼦
美術:松井るみ
照明:⾼⾒和義
⾳響:⼭本浩⼀
⾐裳:前⽥⽂⼦
ヘアメイク:佐藤裕⼦(スタジオAD)
演出助⼿:鈴⽊ひがし
舞台監督:佐藤 博
音楽コーディネート:東宝ミュージック
バンドコーディネート:ダット・ミュージック
稽古ピアノ:中條純⼦/若林優美
制作:藤田千賀子
プロデューサー:服部優希・松本宜⼦

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