2025年上演

【2025年】信じる強さ『十二国記 -月の影 影の海-』

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またしても、原作を全く知らないミュージカル作品を鑑賞。

最近、そういうのが多いかもしれない。

そもそも、漫画になじみがないからそうなってしまう。

でも、原作を知らずにミュージカルを見る、というのは、もはや私の中のスタイルの一つになりつつある。

先入観なしで物語に没入できるし、物語を体験として受け入れられる。

そして何よりも、音楽・歌・身体表現が物語をどう語るかに意識が向くので、これはこれでいいのだ。

なお、Wキャストの楽俊(らくしゅん)は太田基裕で鑑賞(牧島 輝は見逃し)

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『十二国記 -月の影 影の海-』

会場

日生劇場

観劇日

2025/12/14(Sun)ソワレ

一人の人間の成長を描いているのかな

私の印象を一言で言うならば、主人公の女子高生が、異次元の世界にワープしてサバイブする話。

裏切りにあったり、信じていた人を疑いそうになったり、と、多感な年代を生きる一人の人間の成長を描いている作品なのかな、と思った。

そういう点では、物語としても面白かったし、十分見ごたえがあった。

ヨウコと陽子

柚香 光を初めて見たが、美しい。

歌唱力は高くはないのだが、宝塚出身者にありがちな、「物語を語る」ことに徹した歌い方が、舞台上では強い説得力を持っていた。つまり、アカデミックな正確さではなく、言葉の置き方や息の使い方、視線や所作と歌を一体化させることで、観客の注意を「うまい・下手」という評価軸から自然と遠ざけてしまう、そんな歌い方だ。

その結果、歌唱の技術的な点よりも、人物の感情や関係性のほうが前面に立ち、気がつけば物語に引き込まれている。これは、舞台人としての計算と経験が生む表現の強さなのだと思う。原作を知らないからこそ、そうした“舞台上の説得力”がより鮮明に伝わってきたのかもしれない。

加藤梨里香は、可愛らしい容姿にベテランの貫禄。

セーラー服がよく似合うのに、玄人の雰囲気。

このギャップが彼女の魅力。

相変わらず、声も透き通って心地の良い声だった。

まさかのネズミだった太田基裕

Wキャストの楽俊(らくしゅん)は太田基裕で鑑賞したのだが、この楽俊はまさかのネズミ。

大型のパペット(操り人形)を操っての演技だ。

これはびっくり。

しかも、ねずみの表情が細かくてさらに驚き。

いつだったか、ウォー・ホースを見た時のことを思い出した。人形にこんな表情を持たせることができるなんて!という驚きだ。

春には、フレッシュな二十歳の学生(『ダンスオブヴァンパイア』のアルフレート)に扮した太田基裕が記憶に新しいので、今回の半獣を見て、なんて守備範囲の広いアクターなんだ!という驚きも。

その他

延麒(えんき)を演じた砂田理子がかわいらしかった。

かなり小柄で、一瞬、「伊藤かの子?」かと思って目を凝らしてみたら別人だった。

後で調べてみると、新人とのこと。

ソロは数小節しかなかったのだが、「おや?」と期待を抱かせるようなきれいな声と高い歌唱力で印象に残った。

私が書いています
運営者情報

姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

ヨウコ(中嶋陽子):柚香 光
陽子(中嶋陽子):加藤梨里香
楽俊(らくしゅん)(Wキャスト):太田基裕/牧島 輝

蒼猿(あおざる)/塙王(こうおう):玉城裕規
舒栄(じょえい):原田真絢
延王(えんおう):章平
景麒(けいき):相葉裕樹

壁落人(へきらくじん):伊藤俊彦
達姐(たっき):桜雪陽子
塙麟(こうりん):三浦優水香
延麒(えんき):砂田理子

新井海人/今村洋一/岩城/舞/植木達也/岡山玲奈/木村和磨/木村優希/熊野義貴*/小林風花/小宮山稜介/篠本りの/鈴木里菜*/轟/晃遙/豊田由佳乃/船﨑晴花/町田慎之介/松村曜生/三上莉衣菜/矢野友実/山名孝幸/吉田萌美

(五十音順)
*オンステージ・スウィング

演出・音楽・振付等

原作:小野不由美
脚本・歌詞:元吉庸泰
音楽:深澤恵梨香
演出:山田和也
ステージング:原田 薫
デザイン・ディレクション:松井るみ
装置:平山正太郎
照明:髙見和義
音響:山本浩一
衣裳:中原幸子
ヘアメイク:宮内宏明
映像:横山 翼
造形物デザイン:竹谷隆之
アクション:渥美 博
パペット制作:劇団プーク
パペット操演指導:柴崎喜彦
影絵・切り絵造形デザイン:てんてん(永井天智)
キーボードコンダクター:長濱 司
歌唱指導:本田育代・吉田華奈
演出助手:末永陽一・國武逸郎
舞台監督:北條 孝・都倉宏一郎
舞台化企画:馬場千晃
アシスタントプロデューサー:柴原一公
プロデューサー:塚田淳一・村田晴子
スーパーヴァイザー:今村眞治
企画協力:新潮社
ビジュアル原案:山田章博
製作:東宝株式会社

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