2025年上演

【2025年】命の価値を問う狂気の頭脳戦ミュージカル『デスノート THE MUSICAL』

https://lasfloresrojas.com

初演から10年。

今回初めて鑑賞。

あえて、避けていたわけではないのだが、なんとなく食わず嫌いだったこの作品、初演時から見ておくんだった!と後悔させられた。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『デスノート THE MUSICAL』

会場

東京建物Brilliaホール

観劇日

2025/11/27(Thr)マチネ
2025/12/6(Sat)マチネ
2025/12/11(Thr)ソワレ

和製ミュージカルであることも改めて知った

私の勝手な思い込みで、この作品、韓国ミュージカルだと思い込んでいたのだが、和製ミュージカルで、音楽はフランク・ワイルドホーン。

2015年初演で、2017年、2020年と再演がされ、その時もなんとなくスルーしており、今回初めて観ることになった。

理由は、主演のWキャストが二人とも「子役出身」だったから。

子役から活躍している俳優の、二十歳前後というとても変化の大きい時を見逃したくない、という動機が働いたので、「あまり好みの作品じゃないと思うけど・・・」と思いつつ、チケットを確保した次第。

端的に言うと、私は学生が主人公の「学園もの」がなんとなく苦手、という意識があるのだが、実際見てみると、べつに「学園もの」でもなんでもない、主人公が学生だっていうだけ。

食わず嫌いはいかんなぁ、と過去見逃していたことが悔やまれた。

浦井健治の滑舌に驚く

今回、死神リューク役の浦井健司をみることになったのだが、2015年と2017年は、彼は当作品で主人公夜神月を演じている。

ライト(月はライトと読む)が、死神リュークとして戻ってきたというわけなのだが、この死神、とんでもなく良くしゃべる死神なのである。

ダミ声で、べらべらべらべら、ずーっとしゃべり続けるわけなのだが、浦井健司っていつのまに、こんな進化をしたんだ?と思わずにはいられなかった。

2016年に「あわれ彼女は娼婦」を見たときには、浦井健司、滑舌大丈夫か?と思った記憶があるのだ。あれから9年の月日が流れて、いまや独り言のような超長いセリフもよどみなくいえる俳優になっているとは、感慨深い。

グロテスクでありながら、可愛くコミカルで、素晴らしいリュークであった。

死神にも慈愛があるんだ・・・:濱田めぐみが演じるレム

ミュージカル『デスノート The musical』で、死神レム役を初演から一貫して演じ続けているのは、濱田めぐみ。

「なぜ、これまでこの舞台を観ていなかったのだろう?」と、強く後悔した。

彼女の演技を観ていると、「慈愛に満ちた役柄」を演じさせたら右に出る者はいない、と感じさせる。

いや、ちょっとまて。。。。濱田めぐみが演じるからこそ、死神レムという存在が、深く、そして慈愛に満ちたキャラクターとして昇華されるのかもしれない。

その確かな存在感と歌声は、物語に大きな深みを与えている。

レムの演技が素晴らしかった分、弥海砂役の鞘師里保の歌唱、特に高音で苦しそうに見える点が、観客としても辛く感じられた。

弥海砂役は、初演が唯月ふうか、その後の公演が吉柳咲良と、高い評価を得てきたキャストが務めてきた点を踏まえると、今回の公演で弥海砂の表現がいまひとつ精彩を欠いてしまったことは、容易に想像がつく。

このレムとミサのパフォーマンスのコントラストが、作品全体の印象に影を落としてしまったと言わざるを得ない。

その点だけが残念だ。

優等生と謎の青年

夜神月は、加藤清史郎と渡邉蒼のWキャスト。

渡邊蒼の大人びた顔つき、特に物語後半で夜神月がサイコパス的な表情を見せるところに、ぞくっとさせられた。一方で、加藤清史郎の安定した演技と歌唱にも安心感を覚える。二人の「月」の解釈の違いを楽しむのも、この作品の醍醐味だろう。

そして、L役の三浦宏規。彼は、陰キャの天才が持つ独特の動きを非常によく表現していた。暗さをまといながらも、持ち前のダンサーらしいしなやかな身のこなしによって、どこかスタイリッシュさを感じさせるのがさすがだ。歌唱力も素晴らしく、月との緊迫した対決を高いレベルで成立させていた。

その他いろいろ

咲良が、女子高生から白髪のマダムまで、守備範囲が非常に広いことに驚かされた。

カーン!と響く高音テノールが心地よかった藤田宏樹、なぜか舞台上で見つけると安心してしまう安福 毅、なんか渋くいい感じに年を取っている俵 和也などなど、アンサンブルも非常に充実。

この作品ではE列が最前列。

今回、2025/12/6(Sat)マチネでは、前から二列目のセンターというかぶりつきの席をいただいたのだが、終演後、指揮者のしおちゃんこと塩田明弘氏とアイコンタクトができた(と私は思っている)のも嬉しかった。


今回、グッズに「ノート」はあるのかな?と思ってのぞいてみたけれど、さすがにノートは売ってなかった!(笑)

キャストボード

2025/11/27(Thr)マチネ

2025/12/6(Sat)マチネ

2025/12/11(Thr)ソワレ

私が書いています
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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

夜神 月・・・加藤清史郎/渡邉蒼(Wキャスト)
エル・・・ 三浦宏規
弥 海砂・・・ 鞘師里保
夜神粧裕・・・リコ(HUNNY BEE)
死神レム・・・ 濱田めぐみ
死神リューク・・・ 浦井健治
夜神総一郎・・・ 今井清隆

俵 和也/石丸椎菜/岩橋 大/大谷紗蘭/小形さくら/尾崎 豪/上條 駿/川口大地/神田恭兵/咲良/田中真由/寺町有美子/照井裕隆/藤田宏樹/増山航平/町屋美咲/松永トモカ/望月 凜/森下結音/安福 毅/德岡 明*/森内翔大*
(*スウィング)

演出・音楽・振付等

原作:「DEATH NOTE」(原作:大場つぐみ 作画:小畑健 集英社 ジャンプコミックス刊)
作曲:フランク・ワイルドホーン
演出:栗山民也
歌詞:ジャック・マーフィー
脚本:アイヴァン・メンチェル
翻訳:徐賀世子
訳詞:高橋亜子
編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ハウランド
音楽監督・指揮 :塩田明弘
美術:二村周作
照明:勝柴次朗
音響:山本浩一
衣裳:有村 淳
ヘアメイク:鎌田直樹
映像:上田大樹
振付:田井中智子
歌唱指導:ちあきしん
演出補:豊田めぐみ
舞台監督:加藤 高

主催・企画制作:株式会社ホリプロ

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