2年7か月ぶりの再演である。
初演の時は、いったい女性科学者の話をどうやってミュージカルに?と思ったものだが、私が知らないだけでラボラトリにもたくさんのドラマがあって、そして、思いのほか泣ける話でもあった。
今回は、主演キャストが総入れ替え、ということで、さらに大きな期待とともに、観劇してきた。
なお、今回は東京初日と東京千秋楽の二回の観劇で、Wキャストは、以下すべてを網羅。
マリー・キュリー:昆 夏美/星風まどか あの有名な女性科学者を題材にした韓国ミュージカル。 そして主演が愛希れいかだ、ということで観に行ってきた。 私は割と韓国ミュージカルの雰囲気が好きなので、この作品もすぐに受け入れることができた。 【🎥 ... 続きを見る
ピエール:松下優也/葛山信吾
アンヌ:鈴木瑛美子/石田ニコル
ルーベン:水田航生/雷太

【2023年】女性科学者と献身的な愛『マリー・キュリー』
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『マリー・キュリー』
会場
天王洲銀河劇場
観劇日
2025/10/25(Sat)ソワレ
2025/11/9(Sun)マチネ
多層の彩
マリー役の昆夏美は、オタク風女性科学者の雰囲気がものすごい出ていて、理系の情熱をそのまま舞台に持ち込んだような、知識欲に満ちた空気を纏っていた。一方、星風まどかは、繊細さの奥に揺るがぬ意志を感じさせる佇まいで、まったく異なるマリー像を立ち上げていた。どちらも、歌唱の安定感と表現力が際立つアーティストだからこそ、マリーの感情の振れ幅が観客にストレートに届く。声が、思考の震えをそのまま伝えてくる感じ。
ピエール役は、色気を完全封印した松下優也と、懐の広さしか感じない葛山信吾、印象が全く異なるピエールだったが、どちらも、献身的に尽くす優しい紳士だった。
アンヌ役の鈴木瑛美子は、育ちの良さが垣間見えるせいなのか、とにかくキュートで可愛い、それでいてまっとうな女版正義漢だ。一方、石田ニコルのアンヌは、もっと地に足のついた現実的な強さを感じさせる。マリー寄り添うというより、彼女の背中を押して前に進ませるような、たくましさと包容力があった。声の質も異なり、鈴木アンヌが澄んだ真っ直ぐな光なら、ニコルアンヌは温度のある灯火のよう。どちらもマリーにとって必要な存在でありながら、関係性のニュアンスが微妙に変わってくるのが面白い。
演出について思うこと
今回、ソルボンヌ大学のシーンでは、男子学生たちの中に女性アンサンブルがいたことに初めて気が付いた。初演の時もそうだったのかなぁ?だとしたら、気が付かなかった。
また、亡くなった工場職員たちの亡霊のシーンで歌われる歌の歌詞は、初演の時は「やりまくって死んだ」という歌詞だったと思うのだが、今回は「あそびまくって死んだ」という歌詞に変わっていた。個人的には、インチキ検死により不名誉な死因を捏造された故人たちの無念を表すには、以前の歌詞のほうが良かったと思うのだが、青少年たちを劇場に招聘するには不適切だったのかな?
マリーが治療を試みる盲目の少女役には石井咲、付き添う看護師役には石井亜早実が配されていたのだが、正直なところ、配役が逆だったらもっとしっくりきたのでは?そんな印象を抱いた。石井咲は背が高く、骨格のはっきりした顔立ちで存在感があるぶん、幼さを求められる少女役にはやや違和感が残った。一方、石井亜早実は小柄で、顔のパーツにも柔らかな丸みがあり、少女役に自然に馴染みそうな雰囲気を持っている。加えて、2年前の『マチルダ』で主人公の同級生を演じていた記憶が鮮明に残っていることもあり、なおさらそう感じたのかもしれない。
キャストボードなど
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
マリー・キュリー:昆 夏美/星風まどか(Wキャスト)
ピエール:松下優也/葛山信吾(Wキャスト)
アンヌ:鈴木瑛美子/石田ニコル(Wキャスト)
ルーベン:水田航生/雷太(Wキャスト)
能條愛未、可知寛子、清水彩花、石川新太
坂元宏旬、藤浦功一、山口将太朗、石井 咲、石井亜早実
飯田汐音(Swing)
演出・音楽・振付等
脚本:チョン・セウン
作曲:チェ・ジョンユン
演出:鈴木裕美
翻訳・訳詞:高橋亜子
東京公演主催:AMUSE CREATIVE STUDIO、AMUSE ENTERTAINMENT INC.


