2025年上演

【2025年】帝劇ファイナル『レ・ミゼラブル』

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帝国劇場取り壊し前の、最後の作品となった『レ・ミゼラブル』。

思えば、私、この作品は日本初演である1987年から見ているのだった!なんと日本初演から38年が経過しているとは光陰矢の如し、である。

なお、今回、トリプル、クワトロキャストについては、以下のキャストで観劇。

ジャン・バルジャン:吉原光夫×3、佐藤隆紀×1、飯田洋輔×2、コンプリート
ジャベール:伊礼彼方×3、小野田龍之介×2、石井一彰×1、コンプリート
ファンテーヌ:昆夏美×4、生田絵梨花×1、木下晴香×1、コンプリート
エポニーヌ:清水美依紗×4、ルミーナ×2 (屋比久知奈見逃し!)
マリウス:三浦宏規×2、山田健登×2、中桐聖弥×2、コンプリート
コゼット:加藤梨里香×1、敷村珠夕×1、水江萌々子×4、コンプリート
テナルディエ:駒田一×2、斎藤司×1、六角精児×2、染谷洸太×1、コンプリート
マダム・テナルディエ:森公美子×1、樹里咲穂×2、谷口ゆうな×3、コンプリート
アンジョルラス:木内健人×1、小林唯×3、岩橋大×2、コンプリート

ガブローシュ:アッカヤ陽仁×3、大園尭楽×1、中井理人×2、コンプリート
リトル・コゼット:井澤美遥×3、鞆 琉那×2、内 夢華×1(荒川寧音、井手陽菜乃、平山ゆず希見逃し)

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『レ・ミゼラブル』

会場

帝国劇場

観劇日

2024/12/22(Sun)ソワレ
2025/1/7(Tue)ソワレ
2025/1/9(Thr)ソワレ
2025/1/23(Thr)マチネ
2025/2/2(Sun)マチネ(帝劇ファイナルウィーク)
2025/2/5(Wed)ソワレ(帝劇ファイナルウィーク)

ファンテーヌが若返り

今回の公演の特徴の一つに、ファンテーヌに若い女優がキャスティングされたことがある。

昆夏美33歳、生田絵梨花28歳、木下晴香25歳(いづれも2025年2月5日時点)の3名である。

若い女優がキャスティングされることで、新鮮な感じがすると同時に、3者3様で大変興味深かった。全員良かったので、誰が一番良かったとは言えないのだが、一番哀れで悲惨な印象を受けたのが木下晴香のファンテーヌ。

バルジャンに看取られて死ぬシーンは、もう哀れそのもの。一幕のかなり最初のほうにあるこの「ファンテーヌが死ぬシーン」で私が涙することはあまりないのだが、木下晴香のファンテーヌは可哀想すぎてさすがに涙が出てきた。

木下晴香は3人のうちで一番若いにもかかわらず、3人のファンテーヌの中で、一番大人っぽいファンテーヌだった。ほかの2人のファンテーヌが、可愛らしい感じを出していたので、それとの比較だ。

昆夏美のファンテーヌは、予想通り素晴らしかったが、そこかしこに可愛らしさを感じたのはちょっと意外だった。歌の歌詞通り、まだ夢を見ているような乙女チックなファンテーヌという感じを強調してきたんだろう。

生田絵梨花のファンテーヌは、ほかの二人が圧倒的歌唱力を持っているので、彼女たちと比べて歌唱が大丈夫かな?とちょっと心配していたのだが、そんな杞憂も何のその、本当に歌唱力高くなったなぁ、と、良い意味で裏切られた。

ちなみに彼女は、コゼット、エポニーヌ、ファンテーヌ、とレ・ミゼラブルの3つの役を経歴してきたので、当然15年後には、マダム・テナルディエを演じてくれるものと信じている。

演出あれこれ

今回学生に捕らえられた後のジャベールが、「乱れ髪に鼻血」というややインパクト強めのメイクアップに演出が変わっていた。

伊礼彼方のジャベールが、もはや「ヤング・ジャベール」ではないことに気づいたのも、今回の公演でだ。

彼がジャベールにキャスティングされたのは2019年なので、もう5年も経つのか。当時は、若々しいジャベール、だったのだが、たったの5年で、すっかり落ち着いたジャベールに進化していた。

テナルディエ役は、クワトロキャストだったが、目新しいのが染谷洸太のテナルディエ。身体能力の高さを生かして、側転したり逆立ちしていたが、そんなことをするテナルディエは初めて見た!

居酒屋のシーンでは、以前は2階でカップルが情事にふけっているというちょっときわどい演出がされていたのだが、今回から、男性二人(ゲイカップル?)の間に女性(部屋係?)が入って一緒に踊る、という演出に変わっていた。

エポニーヌが、マリウスから預かった手紙をコゼットに渡そうと、バルジャン宅に侵入してバルジャンにとらえられるシーンで、バルジャンが「坊や」とエポニーヌに呼びかけると、エポニーヌがおもむろに赤いベレー帽を脱いで長い髪の毛を見せるところがある。

このシーンは、いつだったかは、「坊や」と言ったバルジャンが、はっ!と何かに気づいて、エポニーヌの赤いベレー帽をはぎ取ると、パラっと長い髪の毛が現れ、「なんてこった!女の子か!(それもコゼットと同い年ぐらいの!)」とバルジャンが微妙な表情をする、という演出もあったと記憶している。この演出はウエストエンドでもそういう演出があったのだろうか?そして、どうしてまた元の演出に戻ったんだろうか???

実は、バルジャンがエポニーヌの赤いベレー帽をはぎ取る演出のほうが好きだったな。

Drink with me(共に飲もう)で、グランテールが「死は無駄じゃないのか?!」と歌った後に、木内健人のアンジョルラスだけがグランテールをハグしていたが(2025/2/2Sunマチネ)、小林唯と岩橋大のアンジョルラスは、ともにグランテールの胸ぐらをつかんで睨みつけていた、という違いがあった。この演出の違いは何だったんだろう?どちらも納得はできるので、どちらがいいということはないのだけれど、役者によって違うのか、あるいはアドリブだったのか?!ちょっと気になった。

子役ちゃんたち

今回は、アッカヤ陽仁のガブローシュが強い印象を残した。

最初に登場した時には、端正な顔立ちやたたずまいから「ずいぶん上品なガブローシュだな」という印象があったのだが、ここは俺様の縄張りだと啖呵を切るシーン、志願兵と偽ってうその情報を流しに来たジャベールを胡散臭い目で見つめるシーン、グランテールに甘えるシーンなどなど、表現力の高さに脱帽!であった。

リトル・コゼットは、今回3人のリトル・コゼットを見ることができたが、印象に残ったのは、歌唱力の高かった内 夢華。確か、内 夢華は、2023年9月の『アナスタシア』でリトルアナスタシアを演じていて、そこでも歌唱力が際立っていたような気がする。

キャストボードや劇場内の写真

2024/12/22(Sun)ソワレ

2025/1/7(Tue)ソワレ

2025/1/9(Thr)ソワレ

2025/1/23(Thr)マチネ

2025/2/2(Sun)マチネ(帝劇ファイナルウィーク)

2025/2/5(Wed)ソワレ(帝劇ファイナルウィーク)

夕日に照らされる小林一三大先生

夕日で影になった"Imperial Theatre"のロゴ

ファイナルウィークではカーテンコールで客席も「民衆の歌」を合唱

ファイナルウィークには客席にこんなリボンが飛んできた

この眺め、好き。

私が書いています
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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

ジャン・バルジャン:吉原光夫/佐藤隆紀/飯田洋輔
ジャベール:伊礼彼方/小野田龍之介/石井一彰
ファンテーヌ:昆夏美/生田絵梨花/木下晴香
エポニーヌ:屋比久知奈/清水美依紗/ルミーナ
マリウス:三浦宏規/山田健登/中桐聖弥
コゼット:加藤梨里香/敷村珠夕/水江萌々子
テナルディエ:駒田一/斎藤司/六角精児/染谷洸太
マダム・テナルディエ:森公美子/樹里咲穂/谷口ゆうな
アンジョルラス:木内健人/小林唯/岩橋大

鎌田誠樹/増原英也/佐々木淳平/丹宗立峰/菊地 創/小林遼介/近藤真行/深堀景介/岩橋 大/杉浦奎介/石津秀悟/伊藤広祥/柴原直樹/島崎伸作/新井海人/東 倫太朗/中村 翼/横田剛基/藤岡義樹/蘆川晶祥/大津裕哉/町田慎之介/増山航平/ユーリック武蔵/土倉有貴/宮島朋宏/田川景一/松村桜李/白鳥光夏/町屋美咲/宇山玲加/般若愛実/石井麻土香/湖山夏帆/三浦優水香/三島早稀/青山瑠里/横山友香/荒居清香/五十嵐志保美/石丸椎菜/西村実莉/大泰司桃子/清水咲良/北村沙羅/吉岡花絵/笠行眞綺/吉良茉由子

ガブローシュ:アッカヤ陽仁/大園尭楽/中井理人
リトル・コゼット/リトル・エポニーヌ:荒川寧音/井澤美遥/井手陽菜乃/内 夢華/鞆 琉那/平山ゆず希

演出・音楽・振付等

作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作:ヴィクトル・ユゴー
作詞:ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
演出:ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
翻訳:酒井洋子
訳詞:岩谷時子
プロデューサー:坂本義和/村田晴子/佐々木将之
製作:東宝

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