2025年上演

【2025年】若さの悲しい煌めき『ボニー&クライド』

https://lasfloresrojas.com

世界初演は2009年11月のカリフォルニア州サンディエゴ、日本初演は2012年1月。

日本初演は、濱田めぐみ×田代万里生だったが、なんとみていないのだ。(見ておくんだった)

よって、今回初の観劇。

ネットでは「犯罪者が主人公で、鬱屈としたムードの舞台だからあまり好きじゃない」といったコメントが目についたので、どうかと思ったのだが、結論から言うと、私はこの作品が好きである。

フランク・ワイルドホーンの音楽も相まって、若さがキラキラした素晴らしい作品であると思った。

なお、Wキャストについては、以下の通り。

クライド・バロウ:柿澤勇人/矢崎 広、両方をコンプリート

ボニー・パーカー:桜井玲香/海乃美月、両方をコンプリート

テッド:吉田広大/太田将熙、両方をコンプリート

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『ボニー&クライド』

会場

シアタークリエ

観劇日

2025/3/16(Sun)マチネ
2025/3/31(Mon)ソワレ
2025/4/14(Mon)ソワレ

あえて素敵な作品と言わせてもらおう

あえて素敵な作品と言わせてもらう。

若い二人が、力の限り生きた、その生きざまがキラキラしてみえる素晴らしい作品だった。

クズっぷりが半端ない柿澤勇人のクライドは、突き抜けたクズだからこそ、ボニーが首ったけになるのがわかる気がした。

一方で、知能指数が高そうなクライドを演じたのが矢崎 広。どう計算しても、幸せな未来がないとわかっているからこそ、あのような人生をあえて選んだ、という風に見えた。

二人のボニーは、まずビジュアルの美しさに目を奪われたのと、どうやっても品の良さがにじみ出ているわりには、すごむとめちゃくちゃ怖い、というギャップにも驚かされた。

なんといっても、ボニーが「悪くないわ、一緒に死ねるなら」と歌うシーンがこの上なく素晴らしい。

何度も何度も、頭の中でこのフレーズが繰り返し鳴るぐらいだ。

また、2幕後半で、ボニーの母が、「あの子は帰ってくる」というセリフをテッドに向かって言うシーンがあるのだが、あのシーンも意味深だ。

私は、ボニーの母は、ボニーが死ぬことを知っていたんだろう、と思った。その割には母(霧矢大夢)は、安堵に似た穏やかな表情で淡々と語るのである。それもとても印象的。

ラストも、二人の死を予感させながら、静かに終わっていくのも素晴らしい。

まっとうなキャラクター

この作品で、道を踏み外してないキャラの代表は、テッドとブランチだろうか。

最後までボニーを信じて生きてほしいと歌うテッドのナンバーがすごくよかった。

また、ブランチ役の有沙 瞳の役作りが素晴らしく、大変魅力的なブランチだった。

歌唱力も高く、芯のある深い歌声、そこに突き抜けた愛が加わるから、無敵な感じ。

ブランチが、友達に「ごめんなさい!」と去って行かれるシーンがあるのだが(私の理解では、犯罪者の夫をかばい続けるブランチともう付き合えないと、その友達は去って行った)、その際も、覚悟をしてました、という表情をしていて、悲しいぐらいのたくましさを感じた。

その他

今回クレジットに、インティマシーコーディネーター:浅田智穂氏の名前があることに気が付いた。

ボニーの下着姿や、舞台上でのクライドとのからむシーンがあるからであろう。

インティマシーコーディネーターが入って、演者に配慮するのは、とても良い傾向であると思った。

また、どういうわけか、今回3回観劇したが、3回とも1階1列目のセンターブロックで見ることになった。

最前列である。

クライドが大暴れして、舞台上を行ったり来たりするのを間近で見ることができたのは、とても迫力があって良かった。

キャストボード

2025/3/16(Sun)マチネ

2025/3/31(Mon)ソワレ

2025/4/14(Mon)ソワレ

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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

クライド・バロウ:柿澤勇人/矢崎 広
ボニー・パーカー:桜井玲香/海乃美月
バック:小西遼生
ブランチ:有沙 瞳
テッド:吉田広大/太田将熙
エマ/ファーガソン州知事:霧矢大夢
シュミット保安官:鶴見辰吾

石原慎一
彩橋みゆ,池田航汰,神山彬子,焙煎功一,広田勇二,三岳慎之助,安田カナ

スイング
齋藤信吾,社家あや乃、鈴木満梨奈

演出・音楽・振付等

脚本:アイヴァン・メンチェル
歌詞:ドン・ブラック
音楽:フランク・ワイルドホーン
上演台本・演出:瀬戸山美咲
訳詞:高橋知伽江
音楽監督・ピアノコンダクター:前嶋康明
振付:松田尚子
美術:二村周作
照明:笠原俊幸
音響:山本浩一
映像:八木 誠
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:宮内宏明
アクションコーディネーター:HAYATE
歌唱指導長:谷川開
稽古ピアノ:大隅一菜
インティマシーコーディネーター:浅田智穂
演出助手:小川美也子
舞台監督:齋藤英明
プロデューサー:花里千種(ホリプロ)増永多麻恵、松本宜子(東宝)
制作:後藤聖奈(ホリプロ)田中景子(東宝)
宣伝美術:川岸涼子 (united lounge tokyo)
宣伝写真:後藤倫人 (UM)
宣伝衣裳:千野潤也 (UM)
宣伝ヘアメイ:ク宮内宏明/前田真里

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