2024年上演

【2024年】完成度の高いコメディ『トッツィー』

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トッツィー、日本初演、山崎育三郎主演。

その他キャストも豪華で、日本側の制作陣の意気込みも感じられた作品。

まったく裏切られることなく、完成度の高いコメディミュージカルであった。

なお、Wキャストのマックス・ヴァン・ホーン役はすべて岡田亮輔で観劇。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

ミュージカル『トッツィー』

会場

日生劇場

観劇日

2024/1/10(Wed)ソワレ ←初日(日本初演の初日!)
2024/1/21(Sun)マチネ
2024/1/23(Tue)ソワレ
2024/1/27(Sat)ソワレ

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振り幅の広い山崎育三郎

山崎育三郎なら、きっと素敵なトッツィーを演じてくれるとは思っていたが、想像以上だった。

そもそも彼自体が実年齢よりかなり若く見えるタイプの俳優なので、もっと可愛らしい感じの女装男子になるんじゃないかと予想していたのだが、意外なことに、熟女風であった。

ジェフ演じる金井勇太が「なんだよ、その熟女版アニーみたいな恰好は!」と絶叫するシーンがあるのだが、そう、まさにそんな感じ。

女装することで見えてくる、「女目線の世界」。

そうしたものの表現が見事だった。

後半のドロシーからは、とにかく優しい、母性のようなものが感じられたのが見事。

イッちゃってる女子ならお得意?昆夏美

昆夏美のメンヘラ女子、サンディも素晴らしかった。

しゃべっていたはずなのに、気づくと歌いだしている、というあのさりげなさも好き。

「未来が見える・・・」というあの歌いだしは、終演後も何度も脳内で勝手に自動再生されていたぐらいだ。

セリフのようなお経のような、でも細かく音が動いて難解そうな曲、それを発狂しながら歌うとか、天才。

彼女の歌を聴いているだけで、ドーパミンが出てきてスカッとするのも不思議。

強烈なスパイス、金井勇太

こんな役者がいたのか!

ジェフ役の金井勇太は、私にとっては今回が初見。

ネットで調べてみると、デビューが映画の主演で、その後は映画やテレビの仕事がメインだったように見受けられる。

あまりテレビを見ないので気が付かなかったが、どこかで目にしていたのかもしれない。

ジェフは、ストーリーを綴るうえで、重要なつなぎというかスパイス的な立ち位置。

2幕冒頭では、マイケルの行動がいかにもめちゃくちゃで破壊的か、ということをディスるナンバーが入るのだが、彼はミュージカル俳優だ、といっても誰も疑わないぐらい、歌唱力も表現力もよかった。

たくさん笑ったような気がするが・・・

上演中たくさん笑ったような気がするが、たくさんありすぎてもう覚えてないことのほうが多いかもしれない。

ドロシーにキスされてショックを受けた後、やはりドロシーを受け入れようとするも、そのドロシーに変な言い訳されたジュリーがキレるシーンで、「私にキスしたじゃん!舌入れたじゃん!」と怒鳴る愛希れいかが滅茶苦茶可愛い。

それに合の手を入れるように、「うん、入れちゃった」としょんぼりするドロシーの山崎育三郎の顔もたまらない。

マックスのお馬鹿さ加減を表現するために、この作品では、彼にたくさんの言い間違いをさせているのだが、確か、「喧嘩両生類だ!(両生類→両成敗)」「今夜は初夜だ(初夜→初日)」「このカンパニーのイチモツにしてもらえて光栄だ(イチモツ→一員)」といったようなセリフがあったかな。

これらもクスクス笑えるシーンだが、このあたりの演出は、翻訳さんや演出補といった日本人スタッフでクリエーションしていったのだろう。

また、マックスが子供のころから居場所がなかったと述懐するシーンでは「イケメングループにしか居場所がなくて・・・」と神妙に語る顔が、めちゃくちゃおかしい。

スタン・フィールズ(羽場裕一)が、ドロシーの正体に気づいて「ええええー?!」と驚愕するシーンも可愛い。

リタ・マーシャル(キムラ緑子)が、死んだ夫の思い出話を語り、ドロシーをウルウルさせたあとに、「あのクソ野郎、まだ生きてるけどねっ!」と叫ぶシーンも好き。

一番気に入ったのは、ロン・カーライル(エハラマサヒロ)が、腹いせに、ドロシーの荷物(バッグ?)をテーブルの上から落として帰るシーン。

このロンという男の小ささを見事に表現しているシーンで、とにかくおかしいのである。

・・・と思って、彼のツイッターを見たら、なんとこのシーン、日本版のオリジナル演出で、しかもゲネプロ時に決まった演出なんだとか!

どんな経緯でこの演出が追加されたのか興味ある。

その他

日頃、ミュージカルを見る際には、あまり指揮者は意識しないのだが、今回の指揮者(塩田明弘氏)は、とても存在感ありありだった。

全体的に若くてフレッシュ!な感じのアンサンブル、1/27ソワレでは「あれ?なんかが違う」と思って、よーく目を凝らしてみてみたら、スイングの髙田実那が舞台上にいた。

帰りに知ったが、その日は青山瑠里が休演だったらしい。

舞台って、キャストが一人でも違うと、また別の空気が流れるから、面白いものだよなぁ、と思った。

しかし、スイングって、誰が欠けてもそこを補えるようスタンバイしているって、すごすぎる。

冬の観劇に欠かせないもの。

それはクローク。

私は、客席に持ち込む荷物は膝の上に乗るコンパクトなものにすべき!という持論を持っているが、冬場のコートはどうしてもかさばる。

だから、クロークは必須なのだ。

今回面白かったのが、クロークの引換札の番号が2回(2024/1/23ソワレと2024/1/27マチネ)続けて「223」だったこと。

こんな偶然ってあるんだ。

作品情報

キャストなど

キャスト

マイケル・ドーシー/ドロシー・マイケルズ:山崎育三郎
ジュリー・ニコルズ:愛希れいか
サンディ・レスター:昆 夏美
ジェフ・スレーター:金井勇太
マックス・ヴァン・ホーン:(Wキャスト)岡田亮輔、おばたのお兄さん
ロン・カーライル:エハラマサヒロ
スタン・フィールズ:羽場裕一
リタ・マーシャル:キムラ緑子

アンサンブル
青山瑠里/岩瀬光世/高瀬育海/田中真由/常川藍里/照井裕隆/富田亜希/藤森蓮華/本田大河/松谷 嵐/村田実紗/米澤賢人

スウィング
髙田実那/蘆川晶祥

演出・音楽・振付等

音楽・歌詞:デヴィッド・ヤズベック
脚本:ロバート・ホーン
演出:デイヴ・ソロモン
振付:デニス・ジョーンズ
オリジナル演出:スコット・エリス
オリジナル装置デザイン:デヴィッド・ロックウェル
オリジナル衣裳デザイン:ウィリアム・アイヴィ・ロング
翻訳:徐 賀世子
訳詞:高橋亜子
音楽監督・指揮:塩田明弘
日本版装置デザイン:中根聡子
照明:日下靖順
音響:山本浩一
衣裳:中原幸子
ヘアメイク:岡田智江
音楽監督補:田尻真高
歌唱指導:板垣辰治、山下まさよ
稽古ピアノ:宇賀村直佳、中野裕子
オーケストラ:東宝ミュージックダット・ミュージック
演出補:上田一豪、西 祐子
振付補:青山航士、隈元梨乃
舞台監督:北條 孝、篠崎彰宏
制作斎藤凌子
アシスタント・プロデューサー:梶原亜沙子
企画コーディネート:冨田雅子
プロデューサー:増永多麻恵、齋藤安彦

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