子どもが主役の演目はなるべく多く見るようにしている。
それは一期一会感が大きいから。
子どもはすぐに大きくなる。
今しか見れないものがある、だから、多く見る。
ビリー・エリオットは、浅田良舞/石黒瑛土/井上宇一郎/春山嘉夢一のクワトロキャストをコンプリート
お父さんは、益岡 徹/鶴見辰吾のWキャストをコンプリート
ウィルキンソン先生は、安蘭けい/濱田めぐみのWキャストをコンプリート
おばあちゃんは、根岸季衣/阿知波悟美のWキャストをコンプリート
トニー(兄)は、西川大貴/吉田広大のWキャストをコンプリート
オールダー・ビリーは、永野亮比己/厚地康雄で鑑賞。(山科諒馬見逃し)
マイケルは、髙橋維束/豊本燦汰/西山遥都/渡邉隼人のクワトロキャストをコンプリート
デビーは、上原日茉莉/佐源太惟乃哩/内藤菫子のトリプルキャストをコンプリート
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『ビリー・エリオット』
会場
東京建物 Brillia HALL
観劇日
2024/8/21(Wed)マチネ
2024/9/1(Sun)マチネ
2024/9/8(Sun)マチネ
2024/9/14(Sat)マチネ
2024/9/22(Sun)マチネ
2024/10/20(Sun)マチネ
4者4様
今回はクワトロキャストのビリーを全部鑑賞することができた。
驚いたのは、4人とも全く個性が違う、ということ。
ちなみに、私は石黒瑛土のみ3回鑑賞、浅田良舞、井上宇一郎、春山嘉夢一はそれぞれ1回ずつ鑑賞した。
どのビリーも素晴らしかったので甲乙はつけられない。
個人的な好みでいうと、石黒瑛土のelectricity(うまく言えません、言葉にできない♪)がものすごく刺さったので、リピートした、という次第。
とにかく踊りのセンスが良くて魅せ方を分かっている浅田良舞の軽やかさは素晴らしかった。
一言でいうと、スタイリッシュ!かな。
4人の中で一番年長で背も高いのに、無邪気さを感じさせる井上宇一郎は、Angry Danceでの豹変ぶりに驚いた。
ちなみに、何かのインタビュー記事で読んだが、彼の一番好きなナンバーはAngry Danceなんだとか!
やっぱり!という感じ。
4人のうち唯一「親がバレエダンサーではない」のが春山嘉夢一。
よく伸びる綺麗な声が印象的だった。
ビリー役は、いうまでもなく、バレエに秀でた男子を集めたわけなので、歌唱はあまり期待していなかったのだが、春山嘉夢一は歌唱力も高かった。
彼ら4人の、「2024年の今」に立ち会えたことを、本当に幸福に思う。
女性たちの生きざま
ビリー・エリオットといえば、マーガレット・サッチャー政権下の炭鉱労働者の苦難と、それにシンクロさせる形で、一人の少年が成長していく話、だろう。
だから、女性の生きざまというのはテーマでも何でもない、はず・・・なのだが、2024年は、どういうわけか、女性の登場人物に注目が行った。
ウィルキンソン先生は、前回から続投の安蘭けいと、初登場の濱田めぐみ。
ちなみに、幕が上がってからウィルキンソンに扮した濱田めぐみをみて、私はしばらくの間、彼女が、2024年版に初めて登板されたことに気が付いた。
それぐらい、ウィルキンソン先生として、板につきすぎていたというか、ウィルキンソン先生そのものだったので。
安蘭けいも濱田めぐみも、原色のケバい洋服が似合うこと似合うこと。
ウィルキンソン先生がトニーと口論になるシーンでは、ウィルキンソン先生の思想やバックグラウンドが透けて見える。
イギリスは階級社会だとよく聞くが、日本人の私には正直ピンときていない。
「中産階級のクソアマ」とトニーにののしられ、「あたしのことをよく知らないくせに」「ミスター社会主義!」と怒鳴り返すシーンは、見ていてスカッとするのはなんでだろう?
ウィルキンソン先生の娘のデビーが、「パパは副支配人だったけれど、女の人と浮気して、それでリストラされて、今はアル中なの」という、とんでもないことを、まるで「昨日の夕飯は好物の筑前煮だったけれど、おなかが痛くて残しちゃったの」ぐらいのトーンで、サラッと言うシーンがあるのも興味深い。
とても幸せ、とは言えない状況にあっても、Solidarity(団結だ!団結だ♪)のナンバーでは、「かがーやけー♪かがーやけー♪」とセンターで歌い踊るウィルキンソン先生は、強くて素敵な女性なのである。
ビリーの死んだお母さんは、今回は大月さゆ。
華奢で可憐な感じのお母さん。
お母さんが出てくるシーンでは、なんだかホッコリしてホロっと泣けてくる。
特に最後に、ビリーがロイヤルバレエ学校に入学するためにロンドンに向かう前、にビリーから「また会えるよね」と聞かれて、「ううん、もう会えんと思う」とサラッと否定するセリフ。
でもビリーは「いやだ!」と泣くわけでもなく、「そっか・・・」と納得するのである。
ビリーが成長していることにもホロっとくる。
ビリーのお父さんが「3年前の先週、サラ(妻でありビリーの母のこと)は死んだ」というセリフがあることからわかるように、ビリーのお母さんは亡くなって3年たっているのだが、それでも、ちゃんとビリーを見守っている。
それにしても、ビリーのお母さんはなぜ亡くなったのだろうか?
亡くなる前に、ビリーに手紙を書いていることから、事故のように予期せず突然なくなったわけではないことは確かだ。
自分の死を悟って息子のビリーに手紙を書いたのであれば、やはり病死か?
ビリーのおばあちゃんは、根岸季衣と阿知波悟美のWキャスト。
1幕の最初のほうに、おばあちゃんのソロ、Grandma's Songがある。
1曲が、おばあちゃんという一人の女性の生きざまを語る、ドラマティックナンバーである。
要約すると・・・
結婚なんてするんじゃなかった、指輪をはめたときに人生は終わった、じいちゃん(夫)はくそ野郎、でも踊ると素敵な男だった、もう一度人生をやり直せるなら男には頼らない
そんな内容の歌である。
女性の閉塞感ってどの国にもあったのかなあ?いや、閉塞感は男にもあるのか?
なんていろいろ考えさせられるナンバーである。
Grandma's Songの最後では、ビリーがやさしくおばあちゃんの手を取ってはけていくのも素敵だ。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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キャストボードなど
その他写真
2024/8/21(Wed)マチネはカーテンコールで写真撮影が許可されていた。
2024/9/8(Sun)マチネでは、マギー・サッチャーからクリスマスプレゼントが!
・・・と思ったら、終演後に劇場スタッフに回収された。(笑)
作品情報
キャストなど
キャスト
ビリー・エリオット:浅田良舞/石黒瑛土/井上宇一郎/春山嘉夢一(クワトロキャスト)
お父さん:益岡 徹/鶴見辰吾(Wキャスト)
ウィルキンソン先生:安蘭けい/濱田めぐみ(Wキャスト)
おばあちゃん:根岸季衣/阿知波悟美(Wキャスト)
トニー(兄):西川大貴/吉田広大(Wキャスト)
ジョージ:芋洗坂係長
オールダー・ビリー:永野亮比己/厚地康雄/山科諒馬(トリプルキャスト)
森山大輔/近藤貴郁(ダブルキャスト)、大月さゆ、大竹 尚、加賀谷真聡、黒沼 亮*、後藤裕磨、齋藤桐人、聖司朗、辰巳智秋、照井裕隆、春口凌芽*、丸山泰右、森内翔大、小島亜莉沙、咲良、竹内晶美、森田万貴*、石田優月、白木彩可、新里藍那
*スウィング
マイケル:髙橋維束、豊本燦汰、西山遥都、渡邉隼人(クワトロキャスト)
デビー:上原日茉莉、佐源太惟乃哩、内藤菫子(トリプルキャスト)
トールボーイ:猪股怜生、髙橋翔大(Wキャスト)
スモールボーイ:張浩一、多胡奏汰、藤元萬瑠(トリプルキャスト)
石澤桜來、岩本佳子、木村美桜、清水 優、鈴木結里愛、住徳瑠香、長尾侑南、松本望海、南 夢依、宮野陽光
演出・音楽・振付等
脚本・歌詞:リー・ホール
演出:スティーヴン・ダルドリー
音楽:エルトン・ジョン
振付:ピーター・ダーリング
美術:イアン・マックニール
演出補:ジュリアン・ウェバー
衣裳:ニッキー・ジリブランド
照明:リック・フィッシャー
音響:ポール・アルディッティ
オーケストレーション:マーティン・コック
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
振付補:前田清実、藤山すみれ(ドラスティックダンス"O")
音楽監督補:鎭守めぐみ
照明補:大島祐夫、渡邉雄太
音響補:山本浩ー
衣裳補:阿部朱美
ヘアメイク補:柴崎尚子
擬闘:栗原直樹
演出助手:伴眞里子、坪井彰宏、加藤由紀子
舞台監督:松下城支
技術監督:清水重光
プロダクション・マネージャー:金井勇一郎
バレエ指導:坂本登喜彦
タップ指導:Higuchi Dance Studio
体操指導:キッズ体操教室できタノ、こむっしゅ体操教室
ボーカル指導:宇都宮直高
Billy Elliot the musical worldwide is produced by UNIVERSAL THEATRICAL GROUP, WORKING TITLE FILMS, GREENE LIGHT STAGE
主催:TBS/ホリプロ/梅田芸術劇場/WOWOW/MBSテレビ(大阪公演のみ)
特別協賛:大和ハウス工業
協賛:イープラス
協力:キョードーファクトリー(東京公演のみ)
後援:BS-TBS/TBSラジオ