前知識なく観劇してきた。
終演後に調べたところ、前回の日本公演が1991年なので、なんと32年ぶりの日本再演ということを知った。
そして最初に思ったのが、この作品、こんなに面白いのになぜ日本での上演回数が少ないのだろうか???ということ。
やはりあのキョーレツなステージママを演じられる女優が少ないってことなんだろうか???
ちなみに、1991年は鳳蘭、1982年は草笛光子での上演だったらしい。
今回、すべてのメインキャストがシングルキャスト、子役のみ2つのチームに分かれており、子役は【チームレッド】で観劇した。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『GYPSY』
会場
東京芸術劇場プレイハウス
観劇日
2023/4/29(Sat) ソワレ
やっぱり大竹しのぶは大女優だ
大竹しのぶの狂ったステージママが、圧巻としか言いようがない。
ローズのもとからは「もうついていけない」とばかり人はどんどん離れていくけれど、彼女には強烈に人を引き付ける魅力がある、そして人から見捨てられても反省はしない、とんでもない自己肯定感だ、自分の思うように動く・・・こんなに強烈で魅力的なヒロインはほかにいない。
今、大竹しのぶ以外でこの役をだれがやれるのか?というとすぐには思いつかない。
その素晴らしい演技力と存在感に、ブラボー!である。
そして、大女優大竹しのぶを前にすると、あの美しい生田絵梨花もほんの「小娘」である。
この大女優に圧倒されているがゆえに、生田絵梨花のルイーズは、どんなにセクシーポーズを決めても、どこかあどけなくて可愛い。
これだけ大竹しのぶのローズが素晴らしかったので、歌唱は本当にもったいないと思った。
場面を盛り上げる場で、声量不足、音程の不安定さがあると、観客の気分は盛り上がらない。
大竹しのぶは歌手ではないので歌は得意ではないのは知っていたが、もうちょっとなんとかならなかったのかなぁ、と正直モヤモヤしてしまった。
堀内敬子とか涼風真世あたりをキャスティングすると、歌も納得できそうなのだが・・・・
バーレスクのストリッパーたち
2幕の展開で、あ!と驚いたのはバーレスクのストリッパーの楽屋のシーンである。
チッシーの鳥居かほり 、エレクトラの麻生かほ里 、マゼッパの咲良が、ストリッパーとしての矜持を歌い上げるシーンは、小気味よかった。
そして「え?!」とびっくりしたのが、鳥居かほり。
鳥居かほりといえば、1980年代~1990年代にテレビでみかけることがあったが、確かその頃は、つやつやの黒髪をストレートのワンレングスにした、清楚系美女だったような・・・・
その彼女が、この舞台ではきわどいポーズを決めるストリッパーである。
それと、もっとびっくりしたのがそのスタイルの良さ。
かなり細身に絞った身体に、細くてしなやかそうな筋肉がいくつも乗ったウエストは、もはや造形美。
経歴を調べると、もともとこの方、バレリーナで20代からジャズダンスをやられていた方なのだと知った。
きっと毎日ダンスの稽古はされているのであろう、一定年齢以上でスタイルがいいなぁ、と思う人のほとんどがダンス系の人だ。
尽くす男ハービー
この作品は、とにかく女!女!女!が前面に出てくる作品だと思う。
しかし、強烈ステージママのローズ、ストリッパーとして成功する娘のルイーズの存在の裏に、じわじわと存在感を放つハービーの姿がある。
女に食い尽くされる男の悲哀?みたいな感じだろうか、今井清隆がこれまでとは違う、意外な面をみせてくれたのも、この舞台を見た一つの収穫かな、と思えた。
もちろん、安定感のあるその歌声とともに、ストーリーに奥行きを持たせた存在だった。
マーケティング的に多様な層の観客を狙った作品?
私が観劇をしたのが、東京千秋楽もまじかの土曜日ソワレだったので、客席はほぼ満席。
ざっと見渡すと、多様な層の観客がいるなぁ、という印象を受けた。
60以降の人もいれば20歳前後の若者もいる、そして、男性もいれば女性も、といったところだ。
エントランスのポスターとともに、アクリルスタンドの写真を撮っている若い女性がいたので、何のアクリルスタンドかな?と思って見てみたら、1幕で軽やかなステップを踏んでいたタルサ役の男子のアクリルスタンドだった。
彼は、ジャニーズJr.なのか、なるほど、こうして若い女性の観客もとりこんだというわけか。
また、生田絵梨花が出ているのでアイドルファンも来ていただろうし、大竹しのぶが見たくて来ていた層もいただろう。
私みたいな、ミュージカルファンという層ももちろんいたであろうし。
こういうマーケティング、誰がどういう戦略で考えているのかなぁ?とか、結果(収益)はどうなんだろう?とか、とても気になった。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
ローズ:大竹しのぶ
ルイーズ:生田絵梨花
ジューン:熊谷彩春
タルサ:佐々木大光(7 MEN 侍/ジャニーズJr.)
ハービー:今井清隆
チッシー:鳥居かほり
エレクトラ:麻生かほ里
マゼッパ:咲良
石田圭祐/泉拓真/安福毅
出津玲奈/岩崎ルリ子/江村美咲/砂塚健斗/高瀬育海/山田裕美子/横田剛基
スウィング:植村理乃/安井聡
【チームレッド】久住星空/大久保実生/古閑暁奈/前田晴秋/占部智輝/鳴海竜明/立花優愛
【チームブルー】
三浦あかり/中村環菜/櫻井碧人/入内島悠平/黒岩竜乃介/涌澤昊生
演出・音楽・振付等
作詞 スティーヴン・ソンドハイム
作曲 ジュール・スタイン
脚本 アーサー・ローレンツ
演出 クリストファー・ラスコム
翻訳・訳詞 高橋亜子