まさに海宝直人劇場、といった感じの音楽劇であった。
同時期に日比谷の帝国劇場では『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』が上演されていたため、心はムーラン・ルージュ一色になりそうだったが、こちらはこちらで全くテイストが違う別の世界が広がっており、至福の時間を過ごすことができた。
ちなみにTHEATRE1010で見たプレビュー公演とBrilliaHALLで見た本公演では、どういうわけか印象が異なった。
おそらくハコ(劇場)が異なると、気分も変わるのだと思われる。
個人的には、THEATRE 1010はちょっと苦手なハコだ。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
音楽劇『ダ・ポンテ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』
会場
THEATRE 1010(2023/6/21-2023/6/25)
東京建物 Brillia HALL(2023/7/9-2023/7/16)
観劇日
2023/6/24(Sat) ソワレ
2023/7/14(Fri) マチネ
高音までポン!と聞こえる心地よさ
海宝直人のなんのためらいもなく高音をポン!と出すあの感じが、本当に心地よく、耳に至福の時が訪れたといっても過言ではない。
ちなみに、1幕最初は、年老いたロレンツォ・ダ・ポンテとして登場してくるのだが、一瞬「誰?」と思って目を凝らしてしまったぐらいだ。
海宝直人本人だった。
歩き方も、歌い方もセリフの言い回しも、全部違うので、別の役者がやっているのかと思った。
この点が、最初のびっくりポイントだった。(相手役の田村芽実のお婆ちゃんの役作りにもさらにびっくりなんだが)
音楽劇「ダ・ポンテ」ブリリアホールでの公演が幕を開けました!
千秋楽までよろしくお願いします🎹🎶
グッズも要チェック!☝️ pic.twitter.com/KZNUrH2rSi— 海宝直人(Naoto Kaiho) (@naotosea) July 9, 2023
ちなみに、今回は名うての女たらし、という役どころだが、個人的には若干違和感ありである。
彼はグッドルッキングではあるが、女たらしの素質は実はあまりないんじゃないかな、と感じられるからだ。(いや、わからないけれど、なんとなく。。。)
平間壮一にはやんちゃな役がよく似合う
今回、やんちゃなモーツァルトには平間壮一。
平間壮一は2023年1月の『キング・アーサー』ではランスロットを演じていたが、その時には「いや、もうちょっとやんちゃな役のほうが・・・」と思っていたら、今回モーツァルトで見ることができた。
これは、ハマり役。
青野紗穂のコンスタンツェがとにかく母性溢れるコンスタンツェで、お姉さんと弟みたいなのも新鮮だった。
女優陣にみどころあり
田村芽実が薄幸の少女(といっても18歳で嫁いだので少女じゃなくて「女」か)から、お婆ちゃんまで演じていたのが、すごい、というのと、声がとてもきれいだったのが印象的。
井上小百合のフェラレーゼは、この暑い日本の夏にあっても、湿度ゼロのドライな悪女。
潔すぎて逆に好感持てるぐらいカッコイイ悪女であった。
おそらく私が彼女を見るのは2019年の『リトル・ウィメン~若草物語~』のベス以来なので、「あー、この女優、かわいいだけじゃなかったんだ」とあらためて認識させられた。
ただ、歌がちょっと惜しい感じがした。
悪くないけれど、ちょっと不安定というか、そんな感じ。
青野紗穂のコンスタンツェは上述の通り、母性溢れるコンスタンツェ。
ミュージカル『モーツァルト!』に出てくるコンスタンツェは、もうちょっとコケティッシュな甘えんぼさんなので、なるほど、こういうコンスタンツェ像もあるのか、と新鮮な感じだった。
#音楽劇ダ・ポンテ
マチソワありがとうございました😊
折り返しをすぎ、深みが増したなと感じる日々。明日は一回!
頑張ります❤️
女子楽屋は癒しの場所❤️ pic.twitter.com/tfOg6Ebbhm— 青野紗穂 (@SahoA_official) July 13, 2023
また、アンサンブルでは、ファニーフェイスで華のある吉田萌美がどこにいても目を引いたし、歌もすごく良かった。
#音楽劇ダ・ポンテ
本日はローソンチケット貸切公演でした❣️
ご来場ありがとうございました🥰座長のご挨拶で気が付きましたが、
もう中日を過ぎていたとは😲💦暑すぎる日が続きますが、水分塩分を取って、全員で大千秋楽まで走り抜けられるよう頑張ります💗✊
明日は13時/18時の2回公演🥰✊ pic.twitter.com/kTKh6XDxsi
— 吉田萌美 (@megumi__yoshida) July 12, 2023
その他雑感
ロレンツォ・ダ・ポンテがモーツァルトの妻コンスタンツェをよく思っていない、またモーツァルトがロレンツォ・ダ・ポンテの恋人フェラレーゼをよく思っていない、というくだり、「仕事でつながった男同士にはこういう感情あるのかなぁ???」なんて思いながら見ていた。
つまり、仕事のパートナーを「女にとられる」という、ジェラシーじゃないけれどジェラシーに似た感情。
また、彼らが生きた時代はまさに「革命」の時代だった。
時代の大きな移り変わりの真っただ中にいる私たちにとって、いまこの作品が上演されるのは、何かのご縁なんじゃないか、という気もしていた。
今回は、珍しく物販コーナーでお買い物もした。
興行主様のためにも、できるだけお金は落としておきたい、と思いつつ、物欲があまりないので、グッズ購入には至らないケースがほとんどなのだが、Tシャツの色が好きな色だったので購入。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
ロレンツォ・ダ・ポンテ:海宝直人
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:平間壮一
アントニオ・サリエリ:相葉裕樹
フェラレーゼ:井上小百合
ナンシー/オルソラ:田村芽実
コンスタンツェ:青野紗穂
皇帝ヨーゼフ二世:八十田勇一
岡本華奈/小原和彦/柴原直樹/鈴木結加里/田村雄一/西尾郁海/橋本由希子/平山トオル/吉田萌美
演出・音楽・振付等
作:大島里美
音楽:笠松泰洋
演出:青木 豪
美術:杉山 至
照明:原田 保
音響:山本浩一
音響効果:青木タクヘイ
衣裳:半田悦子
ヘアメイク:林みゆき(スタジオAD)
映像:松澤延拓
振付:新海絵理子
擬闘:栗原直樹
歌唱指導:満田恵子
稽古ピアノ:松木詩奈
監修:小宮正安
演出助手:陶山浩乃
舞台監督:中西輝彦
プロデューサー:仁平知世、田中利尚
宣伝美術:WHITE Phat Graphics
宣伝写真:SHIN ISHIKAWA
宣伝衣裳:岡本健太郎
宣伝ヘアメイク:宮内宏明
後援公益財団法人:としま未来文化財団
主催:キョードーファクトリー、足立区シアター1010指定管理者(プレビュー公演のみ)
企画製作:東宝