2026年上演

【2026年】技量に魅せられ、展開に戸惑う『白爪草』

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年末の『ダディ・ロング・レッグズ』.に続いて、こちらも二人芝居。

全キャストVTuberで演じられたアニメが元なのだそうだが、私は原作のほうを知らずに観劇した。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『白爪草』

会場

SUPERNOVA KAWASAKI HALL

観劇日

2026/1/10(Sat)マチネ

至近距離で浴びる、二人の圧倒的な歌唱力と表現力

年末の『ダディ・ロング・レッグズ』に続き、今回も二人芝居という濃密な空間に身を置いた。特筆すべきは、二人の役者が放つ圧倒的なエネルギーだ。

至近距離で目にする彼女たちのパフォーマンスは、まさに圧巻。若い女性特有の繊細な心の揺らぎ、そしてその奥に潜む「闇」が見え隠れする様は、彼女たちの高い演技力があってこそ成し得た表現だろう。

いい子風かと思っていたら、しれっととんでもないことをしでかしていた蒼(屋比久知奈)、狂気じみた目がマジで怖かった紅(唯月ふうか)、若手女優として活躍する彼女たちの「いま」を見れたことは本当に幸運だったと思う。

楽曲も素晴らしく、繊細なメロディから大胆に感情をぶつけるナンバーまで、二人の確かな歌唱力によって物語が豊かに彩られていた。 役者の力量を存分に堪能できる、贅沢な時間であったことは間違いない。

なお、今作は二人ミュージカルではあるが、実はもう一人、声のみで出演しているのが安蘭けいだ。彼女のミュージカルナンバーがなかったのは非常に残念だが、声だけでものすごい存在感を放っていた。双子の母親役と心理カウンセラー役の二役を演じ分けていたが、特にカウンセラー役の際の声がもたらす安心感、そしてその裏に潜む恐ろしいサイコパスとしての深みには脱帽であった。

感情の飛躍に戸惑う――物語への共感という壁

一方で、作品の核となるストーリーに関しては、率直に言って最後まで共感の糸口を見つけることができなかった。

役者の熱演が素晴らしかったのだけれど、物語上の「飛躍」が気になって仕方なかった。

「死ぬ」「生きる」、あるいは「殺す」といった極端な言葉や行動が次々と飛び出し、観客としての感情が追いつく前に事態が急展開していく感覚があった。

「確かに生い立ちに深い傷を負っているのはわかるよ、でもそれって、殺したり、死にたくなったりするものなのかね?オバサンが鈍感なのかね?」とつぶやかずにはいられなかったのだ。

人間の心の深淵を描こうとする意図は理解できるが、リアリティや納得感よりも、物語の論理的な飛躍に対する違和感が勝ってしまったのが正直な感想だ。

うーん、これは、きっと感性の違いなんだろう!

ちなみに、SNSでは「スリルミー好きならぜひ見てほしい!」といったような、スリルミーとの共通点を指摘する投稿もあった。

確かに、2人の若者によるサスペンスドラマ、という点では同じなので、スリルミーが若い男性二人による物語なら、それの女性版が白爪草だと言うのだろう。

しかし、私は、ストーリに共感できる・できないという観点から見て、スリルミーには共感ができても、白爪草には共感できなかったので、この2作は全く異なる作品だと感じている。

スリルミーの「彼」や「私」の思想にはなんとなく共感できるところがあるものの、白爪草の「蒼」にも「紅」にも共感ができなかったのだ。

劇場への正直な思い

今回の会場となったSUPERNOVA KAWASAKI HALLは、舞台との距離が近く没入感がある点は魅力的であった。しかし、観劇体験全体を振り返ると、いくつかモヤモヤとするポイントが残った。

まずは立地だ。都心から離れているため、移動にかかる時間と労力は少なくない。

そして最も気になったのが、一律600円のドリンクチャージが必須というシステムである。

特にこの日は厳しい寒さ。

体調や気分の面で「今は何も飲みたくない」という状況もあり得る。結局、チャージ料だけを支払い、何も注文せずに席に着いた。不要なものに強制的に対価を払うという仕組みには、どうしても割り切れない思いが残った。

座席表

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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

白椿 蒼:屋比久知奈
白椿 紅:唯月ふうか

声の出演:安蘭けい

演出・音楽・振付等

原案:映画「白爪草」
音楽・歌詞:ヒグチアイ
脚本・歌詞原案:福田響志
演出:元吉庸泰
音楽監督:竹内 聡
編曲:齋藤優輝
美術:平山正太郎
照明:浜崎 亮
音響:山本浩一
映像:KENNY
衣裳:小田優士
ヘアメイク:水﨑優里(MIG)
振付:塩野拓矢(梅棒)
稽古ピアノ:石川花蓮
舞台監督:松井啓悟
主催・企画制作:ホリプロ

最終更新日 2026年1月26日

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