2026年上演

【2026年】高解像度の絶望と剥き出しの魂『シルヴィア、生きる』

https://lasfloresrojas.com

今回、中野にあるザ・ポケットには初めて行った。

本当にキャパの小さい劇場、真ん中らへんの席に座ったが、きっと最後部座席でも役者の息が聞こえるであろう小ささだ。

小劇場でのミュージカルは、大劇場にはない良さがある。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『シルヴィア、生きる』

会場

ザ・ポケット

観劇日

2026/4/8(Wed)ソワレ

思考を研ぎ澄ます小劇場の深淵

本作は極めて哲学的であり、一筋縄ではいかない難解さを備えた作品であった。

物語の根底に流れるテーマは重く、観る者の胸を直接えぐり取るような痛々しさが全編に漂っている。

これほどまでに濃密で、かつ万人受けを狙わない尖った内容は、まさにザ・ポケットのような小劇場で上演されるのが相応しい。

物理的な距離の近さが、作品の持つヒリヒリとした緊張感を増幅させ、観客を逃げ場のない思考の渦へと引きずり込んでいくようだった。

劇中ではあえて明文化されない要素も多く、観客は提示される断片から真意を読み解くために、脳をフルスロットルで回転させ続けることを強いられる。

終演後に覚える心地よい疲労感は、知的な格闘を繰り広げた証ともいえるだろう。

平野綾が体現する知性と息苦しさ

主演の平野綾による表現は、シルヴィアという女性が抱える痛々しさを驚くほど鮮明に描き出していた。

IQ160という突出した頭脳を持ち、それゆえにこの世界で生きることに耐えがたい息苦しさを感じるヒロインの葛藤が、ひしひしと伝わってくる。

あまりにも鋭すぎる感性は、周囲との埋められない溝を作り、彼女を孤独の深淵へと追いやっていく。

平野の演技はその繊細な心の機微を零すことなく拾い上げ、観る側に「この知能を持ってしまったがゆえの絶望」を納得させる説得力に満ちていた。

万人を拒絶するかのような難解さと、目を背けたくなるほどの痛み。

それらが交錯する本作は、決して楽な鑑賞体験ではないが、私の感性には強く訴えかける非常に好みの作品だった。

その他もろもろ

直前まで、仕事をしていたので、会場入りできたのが10分前だった。

直前まで、かなり重要な仕事の話をしており、まだまだ続きがあったのだが、オフィスから中野の劇場へはGoogle Mapによると50分以上かかるとあったので、なんとか話をキリのいいところで締めて、劇場に走ることになった。

やはり、業後の観劇はあわただしい。

特に、日比谷界隈は慣れているからいいものの、今回のように日ごろ行き慣れていない劇場に業後に行くのは、今後避けようと思った。

中野という町はあまりなじみがないのだが、なんだか古い町並みも残っていて、味のある街だなぁ、という印象。

もっともJR中野駅から劇場までの間をみた「印象」でしかないのだけれど。

私が書いています
運営者情報

姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

続きを見る

作品情報

キャストなど

キャスト

平野綾:シルヴィア役
富田麻帆:ヴィクトリア役
鈴木勝吾:テッド役
伊藤裕一:アルバレス役 ほか
原田真絢:ルース役 ほか

演出・音楽・振付等

脚本・作詞:チョ・ユンジ
作曲:キム・スンミン
演出:藤岡正明

日本語上演台本・訳詞:吉田衣里
音楽監督:久田菜美
美術:杉浦充
照明:三澤裕史(あかり組)
衣裳:半田悦子
音響:岡田 悠(One-Space Inc.)
振付・ステージング:港ゆりか
ヘアメイクプラン:竹節嘉恵
演出助手:吉田衣里
舞台監督:星野誠、竹内彩
演奏(pf):久田菜美、井村玲美
Swing:宮川実生

宣伝デザイン:Coacari
WEBデザイン:eclipsodesign
宣伝:谷中理音
宣伝協力:吉田プロモーション
票券:Mitt
制作:桑澤恵
アシスタント・プロデューサー:山口櫂
プロデューサー:宋元燮
製作支援:杉本事務所
企画・製作・主催:conSept

最終更新日 2026年4月12日

-2026年上演