2025年上演

【2025年】あの驚愕の日本初演から十年以上が経過『ラブ・ネバー・ダイ』

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この作品は、日本においては、2014年に初演されて、2019年に再演、そして今年の2025年が再再演にあたる。

初演の時には、あまりの大胆なストーリーに驚愕し、正直に「なんてひどい話!」と声をあげてしまった作品であるが、今回ようやく、楽曲の素晴らしさや舞台美術の素晴らしさに目を向けることができるようになった。

なお、ダブル、トリプルキャストの観劇状況は以下の通り。

ファントム:市村正親/石丸幹二/橋本さとし、トリプルキャストをコンプリート
クリスティーヌ:平原綾香/笹本玲奈/真彩希帆、トリプルキャストをコンプリート
ラウル・シャニュイ子爵:田代万里生/加藤和樹、ダブルキャストをコンプリート
メグ・ジリー:星風まどか/小南満佑子、ダブルキャストをコンプリート
マダム・ジリー:香寿たつき/春野寿美礼、ダブルキャストをコンプリート

グスタフ:植木壱太/後藤海喜哉で鑑賞、小野桜介見逃し!(桜介君のグスタフ観たかった~)

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

『ラブ・ネバー・ダイ』

会場

日生劇場

観劇日

2025/1/19(Sun)マチネ
2025/2/8(Sat)マチネ
2025/2/15(Sat)ソワレ
2025/2/21(Fri)マチネ

「なんてひどい!」と驚愕した2014年

「オペラ座の怪人」といえば、ミュージカルに興味がない人でもそのタイトルを聞いたことがあるであろうし、楽曲の一部も、聞けば、多くの人に「あー、これ聴いたことがある」といわしめるほど、有名な作品である。

私も、日本でも劇団四季で上演されていたものを何度か、そして、ロンドンのハー・マジェスターズ・シアターでも見たことがある。

そのオペラ座の怪人の、続編だ、ということで、2014年当時は、何の前知識もなく、るんるん♪と期待いっぱいで日生劇場に向かったのだった。

しかし、幕が上がって冒頭から驚愕。

なんと、クリスティーヌはファントムと男女の仲になっていた、という設定!

しかも、月のない夜に、クリスティーヌからしかけたのだというから、驚きだ。清楚系なのにやることが大胆すぎて、開いた口がふさがらない。

そして、ファントムが、月のない夜のクリスティーヌとの秘密の夜について、浪々と歌い上げるナンバーでは、驚き度がMAX状態に。

まじか?まじか?まじかーーーーーー?!

2014年のファントムは、市村正親と鹿賀丈史のダブルキャスト。両方で見たが、市村正親のファントムがよりエロ爺度が高く、クリスティーヌとの一夜を思い出しては悶えているように見えてしまったのだ。(笑)

そして、あのイケメン貴族のラウルが、なんとアル中になっているというひどさだ。

なぜだ、なぜなんだ?!愛した女の裏切りを、心のどこかで感づいているからなのか?アル中かつギャンブル依存症、でも貴族としてのプライドだけはとても高い悲しい男に成り下がっている、あの好青年だったラウルが、だ。

なんてこった!

さらに、メグ・ジリーが、ファントムを擁護するために身体を張って、ニューヨークの投資家や政治家に枕営業!

極めつけは、クリスティーヌの一人息子は、ラウルとの子ではなく、ファントムとの子である、という筋書。

なんてひどい話なんだ。

ラストは、怒り狂ったメグがグスタフ殺害を試みるもそれは叶わず、発砲しクリスティーヌに命中、そう、メグは殺人犯に。

グスタフは、息も絶え絶えのクリスティーヌから、父はラウルじゃなくてファントムだと聞かされる。10歳の子供になんて残酷なことを言うんだ!

それで「愛は死なない」って言われてもねぇ。。。。

しかも、この作品、本家のアンドリュー・ロイド=ウェバーの脚本だというから、驚き度数はさらに上がったのだった。

楽曲の美しさと役者のすばらしさ

このように2014年には驚愕したものの、2019年には再演され、魅力的なキャストが揃っていたので数回観劇した。

そして今回2025年も、同様に、新しいキャストを含め魅力的なキャストが揃っていたため、「作品はあんまり好きじゃないんだけどな」と思いつつ、数枚チケットを押さえた。

2014年、2019年と、「あまり好きになれない作品」と思ったこの作品だが、今回の2025年でようやく、楽曲の美しさに気が付くことができた。

特に、グスタフが歌うナンバーが、いくつも耳に残っている。

ファントム3名、全員よかったのだが、やっぱり「Theファントム」は市村正親だったし、音楽の美しさを存分に証明したのは石丸幹二、醜いという設定でありながらクリスティーヌが惚れても仕方ないよなというスタイリッシュさを持ち合わせたファントムが橋本さとし、と三者三様、見ごたえがあった。

また、今回、アンドリュー・ロイド=ウェバーが、なぜあえてこんなスキャンダラスなストーリーにしたのかについて、想像を巡らせる余裕も出てきた。

実際に彼にインタビューをする機会など絶対にないので、真実は知る由もないが、人間の狡さやえげつなさをあえて隠さず表にさらして、「愛って何だと思う?」と観客に問いかけたかったのか????

うーん、違うかな???

最後にはちょっと好きになった

「あまり好きではない作品」と言いつつ、キャストが豪華なので、何回か見ているうちに、この作品がちょっと好きになってきた。

私の場合は、魅力的なキャストがそれを後押ししたかもしれない。

2014年からずっとラウルを演じ続けている田代万里生、10年以上の歳月を経て、若造ラウルから、渋いミドルに進化しているところも注目だ。

また、ラウルはダブルキャストだが、苦しさややるせなさをバンバン外に出す田代万里生のラウルと全く正反対に、加藤和樹のラウルは陰気で暗く秘めている。

このコントラストも非常に面白かった。

メグは、星風まどかも小南満佑子も、どちらも本当に可愛くて、歌唱力も高い。

マダム・ジリーは続投の香寿たつきと、新しく加わった春野寿美礼。

一幕ラストの、マダム・ジリーが発狂するシーン、私はかなり好きである。あの隠れボスみたいな存在感がたまらなくいい。

クリスティーヌの歌唱については、初回から続投の平原綾香が安定して良いように思ったが、真彩希帆もかなり良かった。

クリスティーヌとしての存在感や華、揺れる愛欲と理性みたいなものを、細かく表現していたのが笹本玲奈だった。

とにかくプリンシパル、全員よかったのである。

キャストボード

2025/1/19(Sun)マチネ

2025/2/8(Sat)マチネ

2025/2/15(Sat)ソワレ

2025/2/21(Fri)マチネ

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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

ファントム:市村正親/石丸幹二/橋本さとし(トリプルキャスト)
クリスティーヌ:平原綾香/笹本玲奈/真彩希帆(トリプルキャスト)
ラウル・シャニュイ子爵:田代万里生/加藤和樹(ダブルキャスト)
メグ・ジリー:星風まどか/小南満佑子(ダブルキャスト)
マダム・ジリー:香寿たつき/春野寿美礼(ダブルキャスト)

グスタフ:植木壱太/小野桜介/後藤海喜哉(トリプルキャスト)
フレック:知念紗耶
スケルチ:辰巳智秋
ガングル:加藤潤一

青木美咲希、石川 剛、尾崎 豪、川島大典、神澤直也、木村つかさ、咲花莉帆、白山博基、菅原雲花、鈴木満梨奈、高瀬育海、髙田実那、長瀬可織、光由、村上すず子、安井 聡、吉田玲菜 (五十音順)

スウィング:熊野義貴、小峰里緒

演出・音楽・振付等

作曲:アンドリュー・ロイド=ウェバー
歌詞:グレン・スレイター
脚本:アンドリュー・ロイド=ウェバー ベン・エルトン
グレン・スレイター:フレデリック・フォーサイス
演出:サイモン・フィリップス

翻訳・訳詞:竜真知子
音楽監督・歌唱指導:山口琇也
美術補:二村周作
照明補:大島祐夫/渡邉雄太
音響補:佐藤日出夫
衣裳補:阿部朱美
ヘアメイク:宮内宏明
演出助手:河合範子
舞台監督:北條 孝
テクニカル・スーパーバイザー:白石良高
プロダクション・マネージャー:田中孝昭 (PRG)

主催:TBS/ホリプロ/読売新聞社
企画制作:ホリプロ

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