なんと面白い立ち位置の作品だろうか!
原作は、イギリスの人気作家アレックス・シアラー著の少年、少女向けのファンタジー小説、つまり児童文学だ。
ところが、ミュージカル作品としては、ファミリーミュージカル、つまり「ファミミュ」カテゴリとは違う、独自の立ち位置の作品になっている。
また、主演に男性アイドルを持ってきたことで、観客の8割が「若い女性(20歳前後)」だったが、ストーリーはあくまでも子供たちが中心となって権力と戦う、というファンタジーで、ロマンスの要素はゼロだ。
こんな独特の立ち位置の作品、みたことがない。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『チョコレートアンダーグラウンド』
会場
よみうり大手町ホール
観劇日
2025/6/5(Thr)ソワレ
2025/6/14(Sat)マチネ
主人公たちは小学生なのか?!
この作品には子役は出演していない。
しかし、スマッジャーもハントリーも、フランキーも「学校に通う生徒」だ。
最初は高校生ぐらいなのかなぁ?と思って、見ていたが、よくよく彼らのふるまいを見ていると、かなり幼い。
小学生といったところか?
原作を読んでいないのでわからないのだが、ティーンエイジャーではなさそう、というのが私の感想だ。
今回初めて見るのがスマッジャー役の北川拓実と、フランキー役の木村来士だ。
二人ともかなり華奢で、子供の役がすんなりはまる。
ハントリー役の東島京も、そのビジュアルとかなりギャップのあるピュアな少年を演じきっていた。
ただ、個人的には、彼にはもっと大人の役をやってほしい、という気がしてしまった。
ハントリーは、実年齢に近い役なので「いま」しか演じられないのだろうけれどね。
童心を忘れない大人組
チョコレート革命の戦士は、なにも少年たちだけではない。
そこには「童心を忘れない大人」の存在もあった。
また、そのキャスティングが見事!であった。
チョコレートガール、アイドルとしてキャピキャピ踊るモファットの平野綾、もはや永遠の少女であるバビおばさん役の土井裕子、そういわれてみると少年っぽさを残したままのジョン・ブレイズ役の岡田浩暉・・・、いずれも少年少女向けのファンタジーの世界に登場する大人として、ピッタリなキャラクターではないか!
アンサンブルの使い方が超ハード!
そもそもアンサンブルには早替えがつきものだとは思うが、今回はとくにアンサンブルの使い方が超ハード、という印象があった。
舞台袖に引っ込んで、数秒後に別の役として出てくる、ということが何度もあったように見えたので、つどつど「アンサンブルすげぇ!」と思わざるを得なかった。
そしてその変わり方も、少年たちの親になってみたり、少年たちの同級生になってみたり、はては「チョコレート」という人間ですらないものを演じる、という振り幅の広さだ。
ちなみに、ドロドロチョコレートダンスと、「チョコレート、パキッ!」ダンスには脱帽。
カーテンを使った暗転は初めて見た
この作品の特徴の一つが、カーテンを使って舞台の暗転をしていたこと。
こんなの初めて見た。
劇場とリピート率の関係について
今回は、とても良い作品だとは思ったが、好みの作品ではないためリピートはしないつもりであった。
しかし、演出が面白いと思ったので、もう一度見てみたい!と思った。
そして、ホールが「よみうり大手町ホール」であったことが、リピートの後押しをした。
「よみうり大手町ホール」は、東京駅から徒歩圏であることや、東京の東側に住んでいる私から見たら非常にアクセスがいいこと、オフィスビルの中にある劇場にしては日常から離れられる雰囲気があること、といった点で、好きな劇場なのである。
もし、この作品が、めぐろパーシモンや、世田谷パブリックシアター、銀河劇場、KAATといった劇場で上演されていたのなら、リピートはどうしようかな?と迷った挙句、やっぱりやめた!となっていた可能性は高い。
チョコレートは美味しいよね
昔は、チョコレートが大好きで、週に数回はチョコレートを食べていたが、ここ1年ぐらいは、それこそ健康のために、常食することは避けている。(お菓子類をやめたら、1年で5kgは減った!)
ただ、やっぱりチョコレートは美味しいよね!
ミュージカルナンバーで「チョーコーレェェェート♪チョッコレェェェト♪」と何度も連呼されたので、完全に洗脳された。(笑)
帰りは丸の内オアゾにあるdari Kでチョコレートドリンクを飲んで帰ったのだった。
客席あれこれ
2025/6/14(Sat)マチネでは、すぐ近くの席に、とても華やかな雰囲気の男性ふたりを見かけた。
やはり服装が一般人のそれとはちょっと違うのと、体格で分かってしまう。
「絶対演者側の人だな」と思って、さりげなーーーくみると、大貫勇輔と宮尾俊太郎だった。
二人は横並びでは座らず、センターブロックの通路側の席に、縦に並んで座っていた。
ちなみに、芸能人が客席にいる場合、わりとセンターブロックの通路側に座っていることが多いように思うのだが、関係者席としてあえて通路側の席を確保しているんだろうか?
まあ、そうだとすると理由はなんとなくわかる気がする。
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運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
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作品情報
キャストなど
キャスト
スマッジャー:北川拓実
ハントリー:東島京
フランキー:木村来士
モファット:平野綾
ジョン・ブレイズ:岡田浩暉
バビおばさん:土居裕子
<様々な役を演じる>
健全健康党の党首、党の男、警官隊、スマッジャーの父と母、ハントリーの父と母、依存症患者、少年団団員、チョコレート捜査官、警察本部長、語り部、学校の生徒など多数、約40役を演じ分ける。
浦嶋りんこ/まりゑ/小松季輝/佐藤匠/中川賢/陰山泰
演出・音楽・振付等
原作:アレックス・シアラー
翻訳:金原瑞人(求龍堂刊)
脚本・作詞:高橋亜子
音楽:オレノグラフィティ
演出:石丸さち子
振付:前田清実
美術:松岡泉
照明:杉田諒士
音響:大野美由紀
衣裳:西原梨恵
ヘアメイク:野澤幸雄
歌唱指導:満田恵子
演出助手:髙野玲
稽古ピアノ:佐藤拓馬
舞台監督:三月一
制作:木村彩菜/麻場優美
プロデューサー:堀内美穂
宣伝:キョードーメディアス
票券:サンライズプロモーション東京
主催:ミュージカル『チョコレート・アンダーグラウンド』製作委員会
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