平野啓一郎の小説が原作で、確か、映画にもなっていたので、なんとなくストーリーは知っていた。
だからこそ、このストーリーでミュージカル化?というのが最初の感想だった。
プリンシパルに大スターが勢ぞろいしていなければ、スルーするところだったが、観劇して良かった。
良い意味で、かなり期待を裏切られた作品だった。
Contents
観劇メモ
会場や観劇をした日など。
演目名
『ある男』
会場
東京建物 Brillia HALL
観劇日
2025/8/9(Sat)ソワレ
2025/8/16(Sat)ソワレ
火サスが舞台にやってきた
火サスといっても、若い人には通じないだろう。
1981年から2005年までの24年間にわたって日本テレビ系列で毎週火曜夜に放送された、ドラマ2時間枠のことである。
サスはサスペンスの略で、ドラマには、視聴者の不安を掻き立てるような音楽が効果的に随所にちりばめられていたと記憶している。
そう、ある男、ミュージカルでは、楽曲に火サスを想起させるような旋律がいくつかあったように感じられた。
知らないうちに、どんどん引き込まれて夢中になってしまうような、そんな不思議な引力が、この作品にはあった。
鹿賀丈史のラスボス感に絶句
鹿賀丈史演じる小見浦の登場の仕方がしびれる。
舞台センター奥から、スポットライトを浴びて、うなりながら登場してくるというラスボス感。
演出家さん、この素晴らしい演出をありがとう!と言いたくなるような演出だった。
また、この何とも言えないいやらしいキャラクターを、これまたいやらしく演じた鹿賀丈史には、改めて脱帽だ。
普通の人を演じるソニン
今回、ソニンがすごく印象に残った。
控えめで、ちょっとおどおどした感じのか弱い女性。
彼女が演じる凶暴な女性(『モーツァルト』のコンスタンツェとか、『マリー・アントワネット』のマルグリット・アルノーとか)や、インテリな女性(『FACTORY GIRLS~私が描く物語』ハリエット・ファーリーや、『ラフヘスト~残されたもの』のキム・ヒャンアン)よりも、この市井のか弱い女性である谷口里枝が、スッとリアリティをもって私の中に入ってきたのが不思議な感覚だった。
二人のダンサー
碓井菜央と宮河愛一郎が、ストーリーテラーのような、セリフのない「コロスダンサー」とでもいうような立ち位置で登場。
二人ともすごい存在感はあるものの、それでいて空気のようにさりげなく、繊細な動きで舞台上の空気を引き締めていた。
ただ、ちょっとだけあのメイクが気になった。
アイマスクのように、薄いブルーで目の周りを染めていたのだが、あれはどんな意味があったんだろう?普通の舞台メイクでもよかったように思ったが。。。。
-
-
運営者情報
姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...
続きを見る
作品情報
キャストなど
キャスト
城戸章良:浦井健治
ある男・X:小池徹平
後藤美涼:濱田めぐみ
谷口里枝:ソニン
谷口恭一:上原理生
谷口大祐:上川一哉
城戸香織:知念里奈
小見浦憲男/小菅:鹿賀丈史
碓井菜央
宮河愛一郎
青山瑠里(※後藤美涼役カバー)
上條駿(※谷口恭一役カバー)
工藤広夢(※ある男・X役カバ)
小島亜莉沙(※谷口里枝役カバー)
咲良(※城戸香織役カバー)
俵和也
増山航平(※城戸章良役カバー)
安福毅(※小見浦憲男/小菅役カバー)
スウィング
植山愛結/大村真佑(※谷口大祐役カバー)
演出・音楽・振付等
原作:平野啓一郎「ある男」(文春文庫/コルク)
音楽:ジェイソン・ハウランド
脚本・演出:瀬戸山美咲
歌詞:高橋知伽江
振付:松田尚子
美術:石原 敬
照明:高見和義
音響:山本浩一
映像:松澤延拓
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:大宝みゆき
音楽監督補:村井一帆
演出助手:伊達紀行
歌唱指導:YUKA
稽古ピアノ:中條純子
舞台監督:加藤 高
宣伝美術:我妻晃司(YAR)/松元優明(YAR)
宣伝写真:Tomoharu Kotsuji
宣伝衣裳:飯田恵理子
宣伝ヘアメイク:真知子/高原優子/野田遥香
主催・企画制作:ホリプロ
最終更新日 2025年9月7日