2023年上演

【2023年】こじらせエリック『ファントム』

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本作品は、今期は1回限りの観劇となった。

これまでと少し演出も変わったように思えたし、素晴らしい作品だったので、あと数回リピートしたかったな、というのが正直なところ。

1回限りだったので、みられるキャストも限られていたが、ほかのキャストも見たかった!

なお今回、ダブルキャストの観劇状況については以下の通り。

ファントム(エリック):加藤和樹
クリスティーヌ・ダーエ:真彩希帆
フィリップ・シャンドン伯爵:大野拓朗
カルロッタ:石田ニコル
少年エリック:井伊巧

クリスティーヌについてはsaraが開幕前に全公演降板していたので、この役はシングルキャストに。

希帆ちゃん、重労働でたいへんだったことだろう。

また、城田優が演出をやりながら、主演のファントムと伯爵役にもキャスティングされるというかなりハードなことをやっていたので、ファントムか伯爵で見たかったが、それも叶わなかった。

よって今回は「演出家の城田優」にしか触れることができなかった、ということに。

観劇メモ

会場や観劇をした日など。

演目名

ミュージカル『ファントム』

会場

東京国際フォーラム ホールC

観劇日

2023/9/3(Sun) マチネ

演出がかなり変わった?

前回の記憶がかなり薄れているので、確かではないのだが、客席を使った演出は今回が初めてなのではないだろうか?

そういう点も含めて、「あれ?いろいろ変わっている?」という印象を受けた。

エリックがグジュグジュ泣きながらすぐそばを通ったりする演出は、これまた新鮮!

また、パリのお廻りが客席を市民に見立てて声をかけてくるのも、面白い演出。

そして、一番変わった!と思ったのが、カルロッタ殺害シーン。

エリックが発狂しながら、これでもかこれでもかと、何度も刺して殺害するシーンになっていたが、これまではそのような演出ではなかったような気がする。

ただ、今回のその演出は(怖かったけど)エリックの屈折した世間への怨恨みたいなものが感じられて、とてもよかった。

父と息子

今回も、キャリエールとエリックの最初で最後の分かち合いのシーンがよかった。

キャリエールの岡田浩暉が自分の犯した罪の重さにどうにもならなくなっている戸惑いをよく表現しているのと、身体が大きく、音楽のセンスは一流でありながら、幼い精神のままのエリック加藤和樹の、生まれながらに背負った「呪い」のような十字架が、一瞬昇華させられそうな、そのシーンは感動的だ。

あの時、エリックの「こじらせ」は昇華したんだろうか?

それとも一瞬昇華しそうになっただけなのか?

そのあと、結局、父キャリエールに殺害されることになるので、よくわからない。

その点も悲しいお話。

どちらにしても、岡田浩暉も加藤和樹も素晴らしかった。

少年エリックに泣かされた

私が見た回の少年エリックは、井伊巧くん。

井伊巧といえば、エリザベートの少年ルドルフや、メリーポピンズのやんちゃ坊主でおなじみ。

少年エリックの出番はそれほど多くないのだが、ある時自分の本当の顔を知って号泣するシーンがある。

バックにドラマティックな音楽が流れる中、絶望的な泣き声をあげるのだが、その泣き声だけで泣けた。

すごいよ、井伊巧くん。

物語の華

この作品のキラキラした役どころ、といえば、純朴なクリスティーヌ、キラキラリア充お金持ちシャンドン伯爵、嫌われ者ではあるけれど派手でゴージャスなカルロッタだ。

真彩希帆のクリスティーヌは、もはや何も言うことがない、という感じ。

宝塚歌劇でも同役を演じていたというし、勝手知ったる役なのだろう。

田舎から夢を追って出てきたばかりで、カルロッタの嫌みの意味も分かりません、全部好意として受け止めます!というシーンも、まるで嘘臭さがなくて、嫌味もない。

そして歌えばゴージャス、最高のクリスティーヌである。

シャンドン伯爵は、ひさしぶりにみる大野拓朗なので、かなり期待していたのだが、個人的にはちょっと控えめな伯爵?という気がしてしまった。

最近爵位のある役、といえば、ムーランルージュで伊礼彼方のこってこてのキザなモンロス公爵を見慣れてしまっていたせいか、大野拓朗のシャンドン伯爵はお上品すぎて、もっと色気全開にしてほしかった!というのが正直な感想だ。

カルロッタは石田ニコル、この人、本当に演技うまいなぁ、という感じ。

下品なババァをこれだけ気持ちよく演じているのは最高。

歌もすごくいい。

ただ、石田ニコルはまだ若くて美しい。

カルロッタが「20代に見えるはず♪」と歌うシーンでは、「普通に20代でもいけますがな」と突っ込み入れそうにいなってしまった。

・・・なので、やはりどんなに演技力が高くても、特殊メイクを施さない限り、カルロッタの役には40代、50代の女優をキャスティングしたほうが、しっくり来そうだな、というのが正直なところ。

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姉本トモコ(@tomoko1572) 東京都出身の舞台芸術愛好家。 高校時代(1980年代!)から、セーラ服のまま劇場に出入りする青春時代を送る。 好きな場所は日比谷界隈、一番好きな劇場は帝国劇場。 ...

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作品情報

キャストなど

キャスト

ファントム(エリック):加藤和樹/城田優(Wキャスト)
クリスティーヌ・ダーエ:真彩希帆/sara(Wキャスト)
※saraはキャスティングされたものの全公演降板
フィリップ・シャンドン伯爵:大野拓朗/城田優(Wキャスト)
カルロッタ:石田ニコル/皆本麻帆(Wキャスト)
アラン・ショレ:加治将樹
ジャン・クロード:中村翼
文化大臣:加藤将
ルドゥ警部:西郷豊
ゲラール・キャリエール:岡田浩暉

荒田至法 池谷祐子 伊宮理恵 岡施孜 上條駿 川口大地 川島大典 木村朱李
木村つかさ 關さや香 玉山珠理 照井裕隆 遠山さやか 轟晃遙 蛭薙ありさ
増山航平 松島蘭 幹てつや 横関咲栄(五十音順)

少年エリック:井伊巧/野林万稔/星駿成(トリプルキャスト)

演出・音楽・振付等

脚本:アーサー・コピット
作詞・作曲:モーリー・イェストン
原作:ガストン・ルルー「オペラ座の怪人」より
演出:城田 優
美術・衣裳:トム・ロジャース
翻訳・通訳:伊藤美代子
訳詞:高橋亜子
音楽監督:森 亮平
照明:吉枝康幸
音響:山本浩一/宮脇奈津子
映像:西田 淳
振付:新海絵理子
ヘアメイク:馮 啓孝
特殊メイク:ニール・マーツ
アクション:幸村吉也
指揮:森 亮平/湯川紘惠
歌唱指導:西野 誠/平岡由香
稽古ピアノ:太田裕子
オーケストラコーディネート:新音楽協会
美術助手:岩本三玲
衣裳助手:大戸美貴
演出助手:加藤由紀子/木下マカイ
制作:藤田早苗/今野亜希/荒川藍子
舞台監督:榎 太郎
宣伝美術:榎本太郎
宣伝カメラマン:伊藤大介(SIGNO)
企画・制作:梅田芸術劇場

最終更新日 2023年9月5日

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